◆JERA セ・リーグ 巨人4ー7中日(18日・東京ドーム)
本塁打にもいろいろあるが、リチャードの一発はすごみすら感じる打球だった。センター右にあの強い打球を放り込める右打者は、12球団を見渡してもなかなかいない。
初球のチェンジアップを空振りした。打者心理としては同じような球に手を出して追い込まれたくない。だから、2球目以降は球の見極めを優先して受けに回りがちだが、積極性を失わずスイングしにいった。初球との違いはセンター方向を意識してコンパクトにスイングしたこと。だからコースこそ甘いが簡単に打てる高さではなかったフォーク系の球をあそこまで運べた。
課題はいかに安定した打席内容を見せられるか、になる。本来攻撃的なタイプの打者だと思うが、一度ボール球に手を出してしまうと受けに回って、打てるはずの直球に差し込まれたり、差し込まれたら、そうさせまいと球を追いかけたり、悪循環に陥っていくことが多いのではないか。
これから相手バッテリーは、あの手この手でタイミングをずらしにくるだろう。でも受け身にならず、打席で目付けや打球方向などをより明確にして、打ちにいきながら、球を見極めていくようになってもらいたい。簡単なことではないが、この一発にはぜひ才能を開花させてほしいと感じるだけの魅力がつまっていた。(野球評論家・清水 隆行)