北海道から関東圏の大学リーグに進んだ球児たちの「今」を紹介する「白球を追う」。今回は、北海高から昨春、東都リーグ、中大に進学した熊谷陽輝投手と堀田晄大外野手(ともに2年)の甲子園球児2人だ。
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熊谷の強みは高校時代、すでにベンチプレス125キロを上げた破格のパワーだ。大学でも1年目からその片りんは見せた。打撃では入学直後の昨春、デビューを果たし2安打。投手として出番が回ってきたのは秋だった。救援して1イニングを無失点に抑えた。ただ、全く満足はしていない。「いい経験をさせてもらいました」。高3の秋にクリーニング手術した右肘が完全ではない中、「戦国東都」で戦い抜く感覚はつかめた。
入学前に掲げていた投打二刀流は、DH制の東都においては口で言うほど甘くない。中途半端になることを懸念した清水達也監督(60)に「どっちでいくんだ」と問われ「投げたいです」と答えた。
高校時代は有無を言わさぬパワーでねじ伏せる西武の平良海馬に憧れた。だが、投手専念と決め、下半身と上半身の連動ができていないと自覚してからは理想像は同じ西武の今井達也に代わった。シンプルかつ小さな動きで、下半身の力を最大限投球に生かす脱力投法に「刺さっています」。自身の軸であるストレートとスプリットへの応用を課題に練習を続けている。
「今まではアウター(表層の筋肉)で投げていましたが、インナーマッスルの大事さを感じています」。筋トレには変わらず重点を置いているが、量よりも質に転換を図っている。
チーム内での競争は激しい。高校時代よりも自由な環境となったが、熊谷はオフの日も投球を磨き続けている。「自分はプロに行きたいという気持ちがある。146キロが最速ですが、150キロ出すのは最低限。出てもそれで満足はしません」。
◆熊谷 陽輝(くまがい・はるき)2005年10月21日、新十津川町出身。19歳。新十津川小1年時に新十津川ホワイトベアーズで野球を始める。新十津川中在学時は空知滝川シニアでプレー。北海高では1年春からベンチ入りし、1、3年夏の甲子園に出場。24年、中大経済学部に入学。リーグ戦成績は投手として2試合に登板し、2回1/3を無失点、4奪三振。打者として6試合で7打数2安打の打率2割8分6厘、1打点。182センチ、97キロ。右投右打。家族は両親。
堀田について、清水監督は「すごく練習している子。お父さんにもよく似ているよね。雰囲気も、しぐさも」と温かい目で見守っている。線は細いが、肩も足腰も入学時に比べて強靱(きょうじん)になり、守備は安定感が増してきた。公式戦デビューを果たすため、あと必要なのは打撃力だ。「打たないとメンバーには入れないんで。監督やコーチの目に留まるバッティングができるよう意識して練習しています」。ゴールデンウィーク中の法大とのBチーム戦でフェンス直撃の安打を放つなど、着実に成長している。
神奈川・川崎市に住む父・一郎さんには、たまに自身のフォームの動画を送り、助言をもらうという。「メンバーに入ることが今の第一目標」とひたむきに努力を続けている。
◆堀田 晄大(ほりた・こうだい)2005年4月26日、神奈川県出身。20歳。