◆JERA セ・リーグ 巨人4―2ヤクルト(24日・東京ドーム)

 泉口は見事だった。まず4回、フルカウントからのカットボールを腕をうまくたたんで右翼へ2号ソロ。

初球以外の5球は変化球が続いたが、体が自然に反応していた。8回の決勝二塁打は、田口の決め球のスライダーが来るだろうと読み切って狙い打った。反応と読み、両方ができる打者に成長してきた。

 調子を落とした時も、次の打席の準備をしっかりしてきた本人の頑張りはもちろんだが、阿部監督が“しつこく”起用してきたことも見逃せない。門脇をショート、泉口はサードで使う手もある中で、「ショートはおまえに任せる」とばかりに自覚と責任を与える意味で遊撃のポジションを動かしていない。打順も1番で結果が出なくなってもスタメンを外すことはせず7番で、しつこく使ってきた。試合に出続けることで体で覚えられることが増え、4打席与えられると思えることで気持ちに余裕が出てくる。その成果が表れた活躍と言っていい。

 大阪桐蔭―青学大―NTT西日本と競争の厳しいチームで鍛えられてきただけに、器の大きさを感じる。門脇が、まだ自分との戦いで精いっぱいに見えるのと対照的に、泉口は相手投手が見え始めている。まだまだ伸びていってくれるだろう。(スポーツ報知評論家・高木 豊)

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