◆JERA セ・リーグ 巨人5―2ヤクルト(25日・東京ドーム)

 腹をくくった。巨人の浅野翔吾外野手(20)は果敢に仕掛けた。

「後悔はしたくなかった。積極的にいって、打てなかったら仕方がない」。両軍無得点の2回1死二、三塁。初球だ。アビラの内角低め148キロツーシームに反応した。食い込んでくる軌道に対して、体の内側からバットを出して捉えた。中前に運ぶ先制の2点打が決勝点。一塁ベース上で割れんばかりの歓声を浴びながら、両拳を掲げた。

 同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかなかった。23日の同カード初戦。4回1死満塁の絶好機で見逃しの3球三振に倒れた。続く投手の赤星が中前へ2点打を放ち、試合後に阿部監督は「前に打っていた浅野くんに見てほしい。

ああいう打撃をするんだよっていうね。お手本のような打撃」と奮起を促していた。

 発奮するかのようにアグレッシブな姿勢でV打。「この前は満塁で三振だったので積極的に行こうと思っていた」。それでも、阿部監督は期待しているからこそ手綱を締める。塁が空き、次打者が投手だったこともあり「あそこで勝負してもらえるようなバッターだからね。そこは自覚しないと。普通だったら歩かされる」と成長を願った。

 恩返しの思いがあった。先発マウンドは今季白星がなかった戸郷。「去年、守備で迷惑かけたのをカバーしてもらってた」と、先輩右腕への感謝は尽きない。試合前の全体ミーティングでは阿部監督から「みんなで勝ちをつけてやろう」と、熱い言葉があり、試合前には戸郷から「今日、頼むよ」と声をかけられた。

気合がより入った。V打に加えて、途中から中堅に移った守備では8回2死満塁の場面で内山の浅い飛球をスライディングキャッチし、戸郷は「(浅野が)捕った瞬間は本当にありがとうと思った」と感謝。「何とか貢献したいと思っていた」と初白星を援護できたことがうれしかった。

 チームは今季初の5連勝。始まりは浅野が決勝打を放った21日の阪神戦(甲子園)からだ。戸郷と上がった今季初の本拠でのお立ち台では「めちゃくちゃうれしい」と喜びをかみしめつつ、「気を抜かずに頑張りたい」と視線を前に向けた。気迫あふれる若武者が勢いをもたらし続けていく。(宮内 孝太)

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