◆JERA セ・リーグ 巨人5―2ヤクルト(25日・東京ドーム)

 巨人の戸郷翔征投手(25)が待ちに待った今季初勝利をつかんだ。ヤクルト戦で今季7度目の先発。

中4日ながら6回7安打2失点と粘って、ウィニングボールを手にした。

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 自分の調子が悪くても、苦しい時でも、ただチームの勝利を目指して孤独に投げ抜くしかないのがエースだ。戸郷もその称号の意味と闘ってきた。「巨人のエースは孤独だからさ…」。オリオールズに移籍した菅野も常々口にしていた。

 戸郷は試合で負けた日は誰よりも早く球場を出る。「球場に残っていたらなぐさめてもらったり、優しい言葉をかけられるからさ」。自宅に戻り、一人で映像を見たり、反省を行う。周りに気を使わせない戸郷なりの気遣いでもある。

 オフに母校の聖心ウルスラ学園(宮崎)で自主トレをともに行う、元巨人の山上信吾さん(現BC信濃投手コーチ兼選手)は証言する。「入団当初から見ていますけど、ご飯も1人でパッと食べて、お風呂もみんなと一緒に行くとかはしない」と明かす。村田善コーチも「誰かとつるむことなく、淡々と自分のことができるタイプ」と語る。

仲間に気を配り、助言を送る姿を見せる陰で、孤独に自分と向き合っているのは、かつての菅野の姿と重なる。

 「意識はしてないけど1人でやることが多いかもね。もちろん迷ったら聞くけど、菅野さんもそうだった」と戸郷。勝てない間は苦しみ抜きながらも、ファームに落ちても自分がするべきことを考えて淡々と練習を行っていた。真のエース像を求めて磨き込んできた強い心が、忘れられない1勝を運んできた。(巨人投手担当・水上 智恵)

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