ナインよ、熱くなれ―。巨人の阿部慎之助監督(46)が26日、スポーツ報知のインタビューに応じ、現在の心境を明かした。

主力に離脱や不振が多い中で若手を我慢強く起用し、現在5連勝中で貯金5。ヘッドスライディング連発の裏に「もっと熱い気持ちを持って」との鼓舞があったとし、浅野や中山らに近未来を背負う自覚を求めた。1位・阪神とは0・5ゲーム差。8日以来の首位浮上を目指し、27日から広島2連戦(富山、金沢)に臨む。(取材・構成=片岡 優帆)

 巨人は現在、今季最長の5連勝中。この5試合で明らかにヘッドスライディングする選手が増えた。勝率5割で迎えた21日の阪神戦(甲子園)の試合前、阿部監督は選手に「熱い気持ちを持っていこう」と声をかけ、気迫むき出しで連敗を止めた。翌22日の阪神戦前のミーティングでは、さらに力強い言葉を贈った。

 「『もっと熱い気持ちを持っていこうぜ』っていう話をして。昨日以上にだって。体を動かすのも心。よーし、やってやるぞみたいな。

野球はメンタルが9割だと思うから」

 甲子園で連勝後、25日までヤクルトに3連勝。浅野、中山、門脇らが球児のように泥臭く、がむしゃらに食らいつき流れを好転させた。4連敗で迎えた16日の中日戦(東京D)からは、陽気なウィーラー巡回打撃コーチが通訳として9試合連続ベンチ入りし、その間7勝2敗。円陣で声出しするなど雰囲気を変えた。

 「そうそう。(負けたり失敗したりすると)チーンってなる子が多いから。あと、ウィーラーにはエリちゃん(ヘルナンデス)に声を出させろって言ってる。打てないとショボーンとしてるから。周りの若い選手にも良くない。『お前が打席に立ってる時、みんな応援してくれてるんだぜ』って言って。チームメートを応援しようって。チームでやっているわけだから」

 不動の4番・岡本が左肘じん帯を損傷。

ウィーラー・コーチの力も借りてヘルナンデス、キャベッジをサポートする中、阿部監督は1死三塁で相手の内野が前進せず、ゴロなら1点が入る状況で大振りして三振した助っ人野手に自ら助言もした。

 「『ベースボールじゃなくて野球も多少は覚えようね』って言って。ゴロを転がせばいいケースもブンブン振っちゃうから。もちろん、それを求めてるんだけど、追い込まれたらコンパクトにいこうぜって。バット短く持ったり工夫する姿勢は見せてくれているから、状況判断できればね」

 チャンスでの打撃、考え方という点では若手野手にも同様のことが言える。

 「真っすぐ狙いで、ど真ん中の変化球を見逃しちゃう。そこで切り替えができず大振りしてしまう。0か100だけじゃ打つのは難しいよ。『あとは最低限これをやらなきゃ』じゃなくて、『最低限これをやればいいんだ』と思って打席に入れるか。得点圏の打撃がみんなテーマだけど、メンタルだと思うよ」

 岡本や丸、打撃不振の坂本や長野を欠きながら貯金5。泉口、浅野、中山、門脇ら積極起用する若手に伝えたいことがある。

 「勇人さん、長野さん、丸さんが近い将来いなくなった時、このメンバーでやっていくんだぜって。

もっと俺らがやらなくちゃいけないんだって思ってやれるか。すごい伝統ある球団で自分たちがやっていくんだって自覚を持たせたい」

 開幕当初は序盤はガンガン打つ攻撃野球を掲げていたが、岡本不在で大量点が望めない今、バントなどを使って1点を取りにいく野球も増やす。先制すれば22勝5敗の好データもある。

 「先制点をどう取りにいくか。だからスクイズも出した。何でもやるよ。もう一回、自己犠牲というのをしつこく言っていく」

 投手では、チームを支える鉄壁ブルペンを、先を見て無理なく柔軟に運用する。

 「中継ぎ陣がみんな20試合くらい投げているから、リフレッシュ期間を作ることも考えている。夏場以降を乗り切るために、梅雨の間に走り込んで体調を整えてもらうとか。目の前の試合を勝つことも大事だけど、長いシーズンを考えてやっていきたい」

 岡本離脱後、9勝7敗。全員で一致団結して逆境に立ち向かっている。

 「よくこの成績で持ちこたえているなと。

欲は出さず目標は五分。そこはブレずに。夏まで勝率5割でいければ十分、勝負できる」

 この日は27、28日の広島戦に向けて新幹線で富山入り。27日の結果次第では8日以来となる首位に浮上する。一戦必勝で熱く必死に白球を追う。その先に明るい未来が待っていると信じて。

編集部おすすめ