◆米大リーグ メッツ3―1ドジャース(25日、米ニューヨーク州ニューヨーク=シティフィールド)

 二刀流の大谷が帰ってきた。ドジャース・大谷翔平投手(30)が25日(日本時間26日)、敵地・メッツ戦前にライブBP(実戦形式の打撃練習)に登板。

23年9月の右肘手術以来初めて、約1年9か月ぶりに打者相手に投げて、最速97マイル(約156キロ)をマークするなど、のべ5人と対戦して2三振を奪った。4時間32分後の試合には「1番・DH」で出場。1回表に千賀滉大投手(32)からメジャートップに並ぶ18号先頭打者本塁打を放った。

 笑みの絶えなかったライブBP終了から4時間32分。大谷は打席にいた。プレーボール直後の2球目。千賀の低め94・8マイル(約152・6キロ)直球をジャストミートした。ジャッジ、シュワバーに並ぶ両リーグトップの18号先頭弾。飛距離125・3メートルで右中間2階席まで運んだ。「甘い球をしっかり打てたので、そこはよかったかな」。投げて、打つ。オンリーワンの二刀流が帰ってきた。

 同じ試合で投手&打者同時出場のリアル二刀流ではなかったが、実戦形式で投げた日に当然のように打者として出場。右肘手術前最後の登板となった23年8月23日でも一発を放っており、“二刀流弾”は641日ぶりだった。千賀からのアーチはメジャー初で、日本人からは菊池、前田に次ぎ3人目。先頭弾は今季4発目で通算16本目。登板試合での本塁打は12本あるが、先頭弾はメジャーではなかった。投手復帰による高揚した気持ちをそのままバットに乗せた。

 「投手・大谷」はポストシーズン(PS)でピークを迎えるよう、じっくり二刀流調整を進める方針。球団初のワールドシリーズ2連覇に二刀流で挑戦すべく、「もちろん楽しみにしている。そこ(PS)の位置に行く過程の中で、スケジュール通り(投手として)復帰して、チームの戦力になれればその先が見えてくる」と心を躍らせた。

 チームは逆転負け。5回1死一塁では千賀の甘いフォークを仕留めきれずに中飛に倒れ、「もう少しどうにかなる打席だった。あの打席は悔やまれる」と唇をかんだ。

念願の“実戦登板”を果たし、自己最多55本塁打ペースに乗せる一発を放っても満足はない。その向上心が二刀流の原動力になる。(安藤 宏太)

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