◆JERA セ・リーグ ヤクルト2―1中日(27日・神宮)

 いつものように顔色を変えることなく淡々と試合を締めた。ヤクルト・石山泰稚投手(36)が偉業を成し遂げた。

2―1の9回2死一塁。上林をスライダーで空振り三振に仕留め、グラブをたたいた。「本当にほっとした気持ちしかないです。勝ってよかった」と、勝利の喜びをかみ締めた。史上38人目の通算100セーブ達成。プロ野球通算100ホールドとのダブルレコードは史上9人目、球団初となる快挙。36歳8か月での達成は史上最年長となった。

 先発として臨んだ1年目の13年シーズン途中に救援に転向した。この年は最終的に抑えを任され10セーブをマークしたが、「最初は3年で(現役は)終わると思っていた」と“短命”を覚悟していた。常に極度の重圧と戦うポジション。厳しいプロの世界で生き抜く自信も手応えもなかった。

 「若い頃はがむしゃらに(練習を)やっていた。

不安だった」と、土台を築いた20代を振り返る。己の居場所を確立するため、とことん汗を流し力をつけた。「3年頑張って1軍で活躍できればいいなと思っていた。それが終わった後に、5年、8年、10年という感じでここまできた」。“石の上にも3年”の精神で13年間で544試合、マウンドに立ってきた。

同郷先輩石川追う 同郷秋田の先輩で球界最年長45歳の石川の背中を追いかける。「石川さんがまだあの年で(現役で)いるので、(自分も)やらなきゃいけないと毎年思います。石川さんが(現役を)終わるまでは負けていられない」と身近な“発奮材料”に力をもらう。

 36歳で守護神の座を再びつかんだ石山は「本当に重い、重要な場所だと思っている。何とかこの場所で多く投げられるよう頑張りたい」。“中年の星”は輝きの強度をここからさらに増していく。(長井 毅)

 ◆記録メモ

 ▼…ヤクルトの石山泰稚(36)が27日、中日戦(神宮)で通算100セーブ(S)を達成した。

プロ野球38人目。544試合での到達は江夏豊(日)の668、山本和行(神)の571、大野豊(広)の564、鹿取義隆(西)の557に次ぎ、5番目に遅い到達となった。

 ▼…36歳8か月での100S到達は37歳7か月の大野、36歳10か月の郭源治(中)に次ぎ、年長3位。

 ▼…石山は通算125ホールド(H)をマークしており、プロ野球9人目の100S100Hを達成。36歳8か月は34歳3か月の増田達至(西)を抜き、最年長。544試合での到達は岩崎優(神)の520試合を抜いて最遅。

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