◆JERA セ・リーグ 巨人1―2広島(27日・富山)
ファーストスイングに込めた。丸が逆方向へはじき返した打球が、三遊間を抜けていく。
「本来はあんまりこういうことはしないんだけど、今日は初球を絶対振ろうと思っていた。2か月くらいリハビリに携わってくれた方々を思いながら、打席に立とうと」
右大腿(だいたい)二頭筋の筋損傷で離脱した3月22日のオープン戦(対ロッテ、東京D)以来、66日ぶりの1軍復帰。1点を追う9回2死一塁で代打が告げられると登場曲「夜をこえて」に、復活を待ちわびたG党の大歓声が重なった。復帰戦でいきなり土壇場の切り札で起用した阿部監督は「ああいう場面で使おうとは思ってたので。さすがでしたね」とうなずいた。
診断を受けた3月23日から「8週間後」の実戦復帰目標は一度も変えなかった。週6勤で午前8時にG球場入りするリハビリ生活。2週間ごとに強度を上げたランニングと並行し「新しいことはどんどん手を出したい派だから」と、トレーナーのすすめを受けてプールトレに初挑戦。キャップ、ゴーグルなど水着一式を自前でそろえ「気分転換にもなる」と50日間のリハビリのうち35日間、ジャイアンツ寮のプールへ向かった。
泳ぎだけでなく水中をジグザグに走ったり、ジャンプの動きも導入。股関節を深く曲げつつ素早く左右の足を入れ替える動きを身につけ、「いろんな筋肉が動いて体が軽くなる感じがする」。負傷につながった走塁を根本的に見直すきっかけになった。
巨人に加入して7年目で最も遅い“開幕”を迎えた背番号8。巨人で積み上げたヒットを764本とし、球団のFA加入選手最多となる村田修一の765安打まで残り1本に迫った。「種田トレーナーをはじめ、たくさんの方々がサポートしてくれた。ヒットが出てくれて良かったですけど負けたんで明日やり返したい」。日本一奪回へのキーマンが、頼もしさを増して戻ってきた。(内田 拓希)
◆丸のリハビリ経過
▽3月22日 オープン戦・ロッテ戦(東京D)の6回に一塁走者として三塁へ走塁中に右足に違和感を覚え、代走を送られて途中交代
▽同23日 都内の病院で「右大腿二頭筋筋損傷」の診断
▽同25日 G球場でリハビリ開始。室内でマシンのスローボール打撃など
▽4月9日 G球場で屋外フリー打撃を再開
▽同30日 スパイクを履いて塁間ダッシュ
▽5月10日 G球場で負傷後初の実戦形式となるシート打撃に臨み、田中将と対戦。8打席で安打性1本
▽同16日 イースタン・オイシックス戦(Gタウン)に「1番・DH」で実戦復帰し、3打数無安打
▽同18日 同戦(八王子)に「2番・左翼」で出場。復帰後初めて外野守備に就き、7回先頭で中前に復帰後初安打をマーク
▽同24日 同・西武戦(Gタウン)の4回先頭で左越えソロ。