◆米大リーグ オリオールズ4―7カージナルス(27日、米メリーランド州ボルティモア=オリオールパーク)

 オリオールズ・菅野智之投手(35)が27日(日本時間28日)、本拠地・カージナルズ戦に先発し、5回1/3を投げて8安打3失点で勝敗は付かなかった。防御率は3・23となった。

「ジャパニーズ・ヘリテージ・ナイト」に敵軍1番のヌートバーと初対決が実現。3打席対戦して、一発を含む2安打1三振。菅野が「決して甘いボールじゃなかった」と被弾を振り返れば、ヌートバーは「カットボールはすごく動いていた。いい打席をつくれたのは幸運だった」。侍ジャパンの先輩後輩対決はヌートバーに軍配が上がったが、序盤は苦しんだ菅野も今季4度目の無四球試合で3回以降は0を並べた。

 雨でズブぬれのファンは先発右腕をスタンディングオベーションでたたえた。4―3で迎えた6回一死三塁。菅野は同点の走者を残して降板したが、2番手・ソトが連続で空振り三振を奪う好救援。目の覚める快投とは言えなかったが、一時は5勝目の権利を手にする好投だった。

 「初回を1点で終われたのが、今日の最終的な結果になった。よく粘れたなと思います」

 敵軍のリードオフマンは2023年WBC日本代表のヌートバー。琴演奏による国歌斉唱で始まった「ジャパニーズ・ヘリテージ・ナイト」で、2017年WBC日本代表の菅野との先輩後輩が対決した。

初回。ヘルメットのひさしに手を添えて会釈したヌートバーに中前打を許すなど、渡米後では1イニング最多の4被安打。この回だけで32球を要するなど省エネピッチを信条とする菅野らしからぬ立ち上がりだった。

 「やっぱり試合前のミーティングと投げてみてのギャップがどうしてもある。実際、投げてみて僕はこう思うと試合中に伝えられて良くなっていったような感じはします」

 25日(同26日)の試合でファウルチップをマスクに受けた正捕手のラッチマンが2試合連続で欠場。前日メジャー昇格したばかりのトロンプとバッテリーを組んだ。キャッチボールさえ、試合前のブルペンが初めて。ミーティングではまずは聞き役に徹してプランを立てたが、実際に試合が始まると菅野の直感で組み立てを修正し、最少失点に食い止めた。

 大崩れしない要因の1つはやはり制球力だろう。無四球は4試合目。2018年の自己最多に11戦目で並んだ。与四球率1・41はリーグ6位。

メジャーの打者が積極的という背景もあるが、メジャーのストライクゾーンに完全に適応している。

 「割り切りだけだと思ってます。もう正直、ソロホームランは仕方ないって思ってますし、四球を出すぐらいだったら打たれた方がいいって僕は常に思ってるんで」

 開幕から約2か月が過ぎ、安定した登板を重ねている。ここまで11試合で4勝3敗、防御率3・23。球宴選出も視野に入っている。

 「出来過ぎとも思わないですし、課題もたくさんありますけど、順調には来ていると思います。難しい試合もあるけど、しっかり粘って、後ろにバトンを渡すことができれば、何とかチームの勝つチャンスが生まれてくると再確認できた。こういう試合を続けていきたい。満足はしてないですけど、それなりにはできていると思うので、改善できる点は改善し、良かったところは引き続き継続する形にしていきたい」と充実感をにじませた。

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