◆JERA セ・リーグ 巨人4―1広島(28日・金沢)
まだ明るい金沢の空へ、増田陸が号砲をならした。0―1の初回先頭。
前日27日の広島戦(富山)は1点を追う9回2死一、三塁で空振り三振。試合終了後のベンチで一人、うつむいたまま動けなかった。「昨日の分をやり返したかった」。借りを“最速”で返すと、ベンチで「よっしゃー」と雄たけびを上げて2回の一塁守備へ飛び出した。
昨オフ、恒例の「坂本組」の沖縄合同自主トレに参加。ただ前半の約2週間は坂本が所用で不在だった。リーダーが決めてくれたメニューをこなした過去5年とは違い、ウォーミングアップのランニング量から頭をひねった。
1000日ぶりの打点を挙げてお立ち台に上がった4月30日広島戦(東京D)の約2時間後。茨城・明秀学園日立時代の恩師で、光星学院(現八戸学院光星)で坂本を育てた金沢成奉監督から「ここからだぞ」と電話で背中を押された。2―1の7回1死二塁では左中間適時二塁打。2安打2打点、今季6度目のマルチヒットで勝利に貢献した。「チームに勇気を与える打席にしたい」という新1番が、阿部巨人2年目の新風になりつつある。(内田 拓希)