◆日本生命セ・パ交流戦 2025 阪神1―2ソフトバンク=延長10回=(20日・甲子園)

 交流戦首位のソフトバンクは延長の末、阪神を2―1で振り切り、自軍のもつ12球団最多記録を更新する9度目Vへマジック1とした。10回2死三塁から代打・石塚綜一郎捕手(24)が勝ち越し適時二塁打。

21日の同カードで勝つか引き分ければ、6年ぶり優勝が決まる。パ・リーグでは3位に浮上した。

 手負いのソフトバンクが交流戦9度目の優勝へ王手をかけた。モイネロと村上の両リーグを代表するエース格同士の激突から始まった息詰まる攻防。近藤、山川が不在の打線で、延長10回に決勝打を放ったのは育成出身の石塚だ。2死三塁の代打で右中間を破る決勝二塁打。「高校時代は(甲子園に)縁がなかったので、プロの世界でヒーローになれて良かった」と黒沢尻工出身の26歳が笑顔を見せた。

 「アウェーであの仕事をしたのは自信にしてほしい」と小久保監督が秘蔵っ子を褒めたたえた。球団は「アイピッチ」(実在の投手の球質を忠実に再現する投球マシン)で16段階の検定を設置して、最初にクリアしたのが石塚だった。その努力を認め、昨年7月に支配下登録。まだ名の知れ渡っていない男の一打に、虎ファンが静まった。

 守護神のオスナが不振で2軍落ちする中、7回からは松本裕、藤井、杉山、津森が無失点リレー。

「彼らで打たれたら仕方がない」と開幕当初との構想とは顔ぶれが違うが、指揮官が胸を張る現在の最強リリーフ陣だ。打線も開幕戦のスタメンで先発したのは周東だけ。控えや2軍メンバーが力をつけた。その代表格が初回の先制に結びつく右前安打を放った3番・柳町だ。開幕2軍スタートながら交流戦は打率トップの4割1分7厘。当初は代走、守備固め要員だった6番・野村も猛打賞で延長10回の決勝ホームを踏んだ。

 「明日は明日の戦い。普段通りにやります」と小久保監督。12球団屈指の選手層の厚さでセ界に強さを見せつけている。(島尾 浩一郎)

編集部おすすめ