第107回全国高校野球選手権静岡大会(試合は7月5日から)の組み合わせ抽選会が21日、焼津市内で行われた。春夏通算12度の甲子園出場を誇る古豪・島田商は、1940年以来85年ぶりとなる夏の聖地を目指す。

初戦の相手は2023年に初めて夏の甲子園に出場した新鋭校の浜松開誠館に決まった。センバツ出場の常葉大菊川、昨夏代表の掛川西はともに2回戦から登場。29日に草薙球場で行われる開会式での選手宣誓は、希望校による抽選で当選した城南静岡の山本颯琉(そうる)主将(3年)が行う。

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  固く交わされた握手には、両校の誇りが込められていた。抽選では浜松開誠館が先にくじを引き、島田商は後から入る形になった。中村帆天(ほだか)主将(3年)は「昨年に続き、また強豪校と当たってしまったが、全力でやるだけです」。昨夏1回戦で敗れた聖隷クリストファー戦の悔しさと甲子園出場を目標に、今年こそと意気込む。

 両校は今春、ともに県予選1回戦で敗退したため、3月29日にダブルヘッダーの練習試合を行った。1試合目は12―10、2試合目は5―12で1勝1敗と互角の戦い。中村主将は「自分たちの力でも倒せる相手だと思います」と自信を見せた。

 一方、浜松開誠館の寺井碧海斗(あおと)主将(3年)も「どこが相手でも自分たちの野球をやるだけ。目の前の勝負に勝っていきたい」と闘志満々だ。

打撃重視のスタイルから、今夏は機動力を使った「走攻野球」に転換。プロ注目の右腕・塚田暖琉(3年)を擁し、ノーシードから2年ぶりの頂点を狙う。

 1928年に創部した島田商は伝統校であり春8回、夏4回、全国大会出場を誇る。しかし、最後に甲子園に出場したのは98年春が最後。現チームは昨秋と今春と2季連続でプロ注目左腕・内藤優央投手(3年)を擁する静清の前に初戦敗退。中村主将は「自分たちは古豪という意識は全くない。それより1回戦を突破できない現状を変えたい」と語る。投手陣は182センチ右腕の大崎亜龍投手(3年)中心に、打線も素振り回数を1人1日500回に増やし、夏に臨む。

 2017年に元中日の佐野心監督(58)が就任し、一昨年の夏に甲子園初出場を果たすなど近年力を付けてきた浜松開誠館との古豪VS新鋭校という注目の対決。勝てば、シード校の加藤学園への挑戦権を得る。春準Vの桐陽も入る激戦ブロックで、互いに譲れぬ思いを持った両校が甲子園を目指し、初戦の舞台に立つ。

(伊藤 明日香)

 〇…選手宣誓を務めるのは、城南静岡の山本主将に決まった。

64校の希望による抽選で、大役を引き当て「選ばれるとは思っていなかったので驚いた」と笑顔。伊東南小6年生の運動会以来となる宣誓役に気持ちは高まるばかりだ。「試合の最後を決めるのは気持ちということで、城南静岡は魂を大事にしている。熱い魂を伝えたい」。名前の「颯琉(そうる)」にちなんだ思いも込めて大舞台に臨む。

 〇…夏連覇を懸ける掛川西の初戦の相手は島田と浜松城北工戦の勝者に決まった。鈴木脩平主将(3年)は「自分たちのできる準備をしていきたい」と気を引き締める。主将を含めて昨夏の甲子園を経験した選手が4人残る。「もう一度、あの舞台に立ちたいという気持ちは非常に強い」。チームは走塁と守備を徹底したスタイルを継続。今夏も「泥くさいプレーをしていきたい」と力を込めた。

 〇…常葉大菊川は2季連続甲子園を目指す中で、“最初の関門”が訪れた。

初戦(2回戦)の相手は静清と池新田の勝者に決まった。静清にはプロ注目左腕の内藤優央投手(3年)がいる。橘木千空主将(3年)は「好投手と当たる可能性があるので、そのことをチーム全員頭に入れて戦いたい」。得点力アップを図っており、打撃だけでなく、足を使う野球でも点を取れるよう練習を重ねてきた。18年以来、7年ぶりの夏の県制覇へ「走攻守の全てでレベルアップしていく」と意気込んだ。

 ◆大会メモ 今季から開会式の入場行進の先導役を高校野球連盟員ではなく、野球部員(マネジャー含む)が務めることになった。今年は抽選により決まった静岡商が務める。また入場行進の校名プラカードを持つ役割も、生徒の活躍の場を増やすのを目的に同校野球部員(マネジャー含む)が務めることになった。

 ◆静岡大会展望 今春、センバツ出場の常葉大菊川が激戦ブロックに入った。春準Vの桐陽に第3シードの加藤学園、一昨年の王者・浜松開誠館、古豪・島田商、常葉大橘、東海大静岡翔洋など実力校がそろう。

 春の県大会を制して、初の甲子園出場を目指す聖隷クリストファーも注目だ。県内屈指の左腕・高部陸投手(2年)だけではなく、180センチ右腕の上田一心投手(3年)も台頭し、投手陣は盤石。

準々決勝で昨夏県決勝で敗れた掛川西との再戦が予想されるが、今年も群雄割拠の混戦になりそうだ。

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