◆日本生命セ・パ交流戦 2025 ロッテ6―4巨人(24日・ZOZO)

 土壇場で作り上げた同点、逆転の好機が一瞬でしぼんだ。2点を追う9回1死満塁、吉川がフルカウントから投手の足元を襲う痛烈な打球を放ったが、無情にも二ゴロ併殺となった。

リクエストしてリプレー検証の結果を待つも一塁アウトの判定は変わらずゲームセット。交流戦は6勝11敗1分けで11位、勝利数、順位ともに球団ワーストタイで幕を閉じた。阿部監督は「悔しい交流戦になっちゃいましたけど、いいところもたくさんあったのでね」と冷静に結果を受け止めた。

 雨天中止になった3日の代替試合。敵地ZOZOで2回までに3点先制したが、先発の西舘が5回途中6失点で逆転された。「追い上げできたし」と終盤に食らいついたが4、5日に続いてロッテにカード3連敗。交流戦トータルで見れば18試合で11位の42得点、1試合平均2・3得点の得点力不足が響き、投手陣を援護できなかった。

 岡本を左肘靱帯(じんたい)損傷で欠く中、交流戦は全て違う打順で臨んだ。試行錯誤しながら組んだ18通りのオーダー。4番には序盤4試合はキャベッジ、中盤7試合は丸、終盤7試合は吉川が入った。DHは中山、大城卓、坂本が2試合、ヘルナンデス、キャベッジ、三塚が1試合と流動的に起用したが、DH制のパ主催試合で1勝7敗1分けと苦戦を強いられた。

 誤算も次へのチャンスに変え前に進んできた。

野手では浅野、若林が故障で離脱。不振のヘルナンデス、リチャードが2軍に降格したが、増田陸や中山が熱いプレーで奮闘し、三塚、荒巻らも貴重な経験を積んだ。荒巻はこの日の9回、先頭で代打で安打。勢いのある若手と調子を上げてきた丸、坂本らベテランの融合が浮上への原動力になる。

 守備面では甲斐が先発マスクの試合で7戦全敗と悔しい結果に終わったが、今後への糧になるはずだ。岸田、小林、大城卓が存在感を見せ、捕手陣の層の厚さが光った。投手も井上、戸郷らがもがく中で西舘が2勝を挙げて成長。各ポジションで競争が激化した。

 貯金4で交流戦に入り、借金1でフィニッシュ。首位・阪神と交流戦前に3だったゲーム差は4・5と開いたが、虎のしっぽはまだ見えていることを前向きにとらえたい。「またセ・リーグとの戦いが始まるので。個々に反省するところはして、しっかり気分を入れ替えて」と阿部監督。

リーグ4位からの逆襲へ、苦しんだ交流戦で生まれた競争力を力に変え、一枚岩で戦うしかない。勝負はこれからだ。(片岡 優帆)

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