◆第107回全国高校野球選手権佐賀大会▽決勝 佐賀北3―0北陵(21日・佐賀県立)

 佐賀では決勝が行われ、07年夏の甲子園で「がばい旋風」を巻き起こした県立校・佐賀北が6年ぶり6度目の夏切符。エース右腕・稲富理人(3年)が2安打完封の力投を見せた。

 紺碧(こんぺき)の空の下、佐賀北ナインは人さし指を突き上げマウンドに歓喜の輪をつくった。6年ぶりの夏切符。エース右腕・稲富は155球目のカットボールで併殺打に打ち取ると、自ら一塁ベースカバーに入って27個目のアウトを取った。被安打2、6奪三振で完封。「本当に優勝したのかな」と実感が湧かなかったが、紛れもないヒーローだった。

 令和の「がばい旋風」を予感させるような圧巻の投球だった。全国制覇した2007年のエース・久保貴大をほうふつとさせるしなやかなフォームで、被安打2はともに内野安打。07年に生まれたエースは、大会全42イニングのうち41イニングを投げて3失点と、ほぼ1人で投げきった。

 大会前、本村祥次監督(31)に「絶対に一人で投げ抜く」と宣言した。指揮官は「夏の走り込みとか、きつい練習を誰よりも」と努力をたたえた。スタンドではV戦士も観戦。07年夏の甲子園決勝に「6番・二塁」で先発した田中亮さん(35)は「(甲子園は)一球一打で歓声が沸く。

楽しんでほしい」とメッセージを送った。

 07年に産声を上げた稲富は「縁があるな」と、にっこり笑った。「夢の舞台。一生の中でもビッグイベント」と胸を高鳴らせたエース。「がばい旋風」エピソード2は始まったばかりだ。(綾部 健真)

 ◆がばい旋風 07年夏の甲子園で、県立の佐賀北は強豪私立を次々と撃破して全国制覇。タレント・島田洋七著の「佐賀のがばいばあちゃん」がベストセラーになったこともあり、熱狂を呼んだ。「がばい」とは佐賀の方言で「とても」。準々決勝で帝京に13回サヨナラ勝ちすると、決勝の広陵戦では8回に副島浩史が逆転満塁弾。島田が広陵出身の元球児であることも話題となった。当時のエース・久保は鹿島、副島は高志館と、現在ともに佐賀の県立校で監督を務めている。

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