◆第107回全国高校野球選手権神奈川大会 ▽準々決勝 横浜5x-4平塚学園(22日・サーティーフォー保土ケ谷)

 横浜に勝利まであと1球。だが、もう1つのアウトが奪えなかった。

サヨナラ負けで金星はならず。ノーシードからの下克上を目指した平塚学園の夏が終わった。紛れもない名勝負。整列の瞬間、保土ケ谷の空に温かい拍手が鳴り響いた。

 1点リードの9回2死二、三塁。3番に高校球界屈指の強打者・阿部葉太中堅手(3年)を迎えた。一塁は空いていたが、勝負した。八木崇文監督(46)は敬遠を指示しなかったことに、「押し出しもある。阿部君を抑えて甲子園というか。あそこは勝負」と説明した。

 力投していた2年生右腕・山口禅は内角へ堂々と勝負球のストレートを投じて、はじき返された。山口は「『横浜といい試合ができたな』では絶対に勝てない。

勝ちに行って勝つ。その気持ちを持って1年間、鍛えてきます」と誓った。指揮官は「あそこでいつも、外のまっすぐをスーッと投げちゃうバッテリーだったのが、インコースを要求したのは良かった。1年間の集大成だと思います」と奮闘をねぎらった。

 八木監督は「正直、1年間ずっとやってきたんで、勝ちたかった。人生を懸けるじゃないですけど、今日は絶対に勝ちたかった。勝ちきれなかったのは何なのか。執念の差でも負けていないと思います」と振り返った。3年生の涙は2年生以下に継承され、新たな挑戦が始まる。(加藤 弘士)

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