◆米大リーグ ドジャース5―2ツインズ(21日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)
ドジャース・大谷翔平投手(31)が21日(日本時間22日)、本拠地・ツインズ戦に「2番・投手、DH」でフル出場し、今季最多46球を投げ、3回4安打1失点3奪三振。打ってはメジャー史上初となる初回被弾後の“やり返し弾”で、チームの連敗を3で止める後半戦初勝利に貢献した。
着弾を見届ける必要もなかった。甲高い破壊音を放った打球を大谷が1、2歩と確信歩きをしながら見つめる。直後、バットを投げ捨て走り出すと、中堅フェンス奥の防護ネットで打球が跳ねた。「ここ数日、見え方がいいなというのが一番。打順含めて関係なく。それが少しずつ良くなってるなというのがいい点かな」。初回無死一塁。初対戦右腕フェスタの高めチェンジアップを豪快に振り抜いた。速度113・4マイル(約182・5キロ)の大飛球は今季2度目の3戦連発、今季2本目の二刀流弾となる逆転の35号2ラン。先発投手として失った1点を倍返しする、自画自賛の逆転弾となった。
取られたら取り返すだけだった。後半戦初登板となる初回のマウンドでは、先頭バクストンに甘く入ったスライダーを左翼席に運ばれ、今季初被弾となる先頭弾を浴びていた。チームは3連敗中で嫌な雰囲気が漂ったが、直後に逆転V弾で払拭(ふっしょく)。球団によると初回に被弾した投手が、その裏に打ち返す“やり返し弾”はメジャー史上初の快挙だ。22年からはナ・リーグでもDH制が導入されたため、今は二刀流の大谷にしかできない離れ業だ。
チームのために1番の座を喜んで譲った。前日からロバーツ監督は打率2割4分1厘、11本塁打と苦しむベッツの不振脱却を願って慣れ親しんだ1番で起用。大谷を今季初めて2番に配置した。それでも「不満は全くないですね。みんながもちろん心地よく打てるのが一番です」。指揮官からはメッセージで打診を受けたといい、「夜に連絡をもらった。『9番でもいいよ』と返しました。
前回12日(同13日)の敵地・ジャイアンツ戦では3回無失点の好投で、17年以来8年ぶりの7連敗にピリオド。この日も“連敗ストッパー”ぶりを発揮。「連敗が続くと気持ち的には落ち込む。ただ、切り替えることが大事ですし、集中するゲームの中でリラックスして入ることも、また大事だと思う」。自然体でチームの連敗を「3」で止める後半戦初勝利に導いた。
次回登板はワンステップ進み、4イニングを投げる予定だ。ロバーツ監督は「今が7月中旬にもかかわらず、彼はフレッシュな状態にある。期待する全てに全力で取り組んでくれている」と感謝。投打完全復帰へ、後半戦二刀流初戦で最高のスタートを切った。(竹内 夏紀)
◆大谷の主な記録
▽日米通算800打点 初回2ランで日米通算800打点に到達した。
▽投手弾 スタットキャストが導入された15年以降では、投手弾としては歴代5番目の打球速度。1~4位はいずれも大谷。
▽先発投手の初回弾 大谷は先発した試合での初回弾は5本目で、2本以上を打ったことがあるのは大谷だけ。