巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(51)=ヤンキースGM付特別アドバイザー=が「長嶋茂雄終身名誉監督追悼試合」として行われる16日の阪神戦(東京D)で始球式を務めることが13日、分かった。ミスターが監督時代の92年ドラフトで当たりくじを引き当て、教えを胸に日米通算507本塁打。

13年には国民栄誉賞をそろって授与された。まな弟子が感謝の思いを一投に込める。

 ミスターの熱い野球愛を受け継ぐ松井さんが16日の追悼試合で始球式を務めることになった。6月3日に長嶋さんが肺炎のため89歳で亡くなり、米ニューヨークから緊急帰国して翌4日早朝に都内の自宅で対面。葬儀にも参列した。今回は監督、コーチ、選手全員が栄光の背番号「3」のユニホームで臨む特別な一戦。師弟の思い出が詰まった本拠地のグラウンドで哀悼の意を白球に込める。

 92年のドラフトで星稜・松井を巨人、中日、阪神、ダイエーが1位指名。4球団競合で長嶋監督がくじを引き当てた。球界を代表する4番に育てるために素振りの特訓を課し、東京Dのベンチ裏や遠征先の宿舎、都内の自宅などで連日スイングをチェック。松井さんは「長嶋監督と出会っていなければ、あの素振りがなければ、プロとしての私はなかった」と話していたように恩義は尽きない。

 長嶋さんは現役時代に通算444本塁打を放ち「ミスタープロ野球」と称された国民的スター。

「我が巨人軍は永久に不滅です」の名セリフを残して引退した74年に生まれたのが松井さんだった。長嶋監督の期待に応えて日米通算507本塁打。日本シリーズとワールドシリーズでMVPを獲得する快挙も達成した。

 ともに日本野球の価値を高めた点が高く評価され、13年には国民栄誉賞を同時受賞。同年5月5日の広島戦(東京D)の試合前に授与式が行われた。その後の始球式では松井さんが投手を務め、長嶋さんは左手でバットを持って右打席に立った。球審を当時の安倍首相、捕手を原監督が務める中で、内角高めの球を空振り。夢の“師弟対決”に盛大な拍手が送られた。

 昨年5月3日、球団創設90周年記念特別試合「長嶋茂雄DAY」として行われた阪神戦(東京D)でも松井さんがセレモニアルピッチを務めた。「今年はジャイアンツ90周年ですが、100年たとうが、150年、200年たとうが、長嶋茂雄という名前はこれからもずっと語り継がれると思います」と語っていた。

 追悼試合のキービジュアルのコピーは「FOR3VER」。長嶋さんの功績が永久に不滅であることを意味する「FOREVER」と背番号「3」を組み合わた。

野球を愛し、巨人を愛した長嶋さん。恩師の思いを次世代に継承する使命を胸に、松井さんが東京Dのマウンドに上がる。

◆監督、コーチ、選手全員が背番号「3」…追悼試合概要

 ▽ユニホーム 監督、コーチ、選手全員が特別仕様の背番号「3」のユニホーム、ソックス、キャップを着用。

 ▽ボールも特別仕様 試合球、塁ベース、マウンドペイントをキービジュアル「FOR3VER」をデザインした特別仕様に。

 ▽人文字 来場者全員にオレンジか黒のオリジナルタオルをプレゼント。5回終了後、スタンドでタオルを掲げて人文字アートを描く「アランチョ・ネロ」を実施。

 ▽試合後も… 試合後のグラウンドでチーム、球団OB、職員らが「3」を人文字で表現してサインボール投げ入れ。

 ▽プレゼント 「長嶋語録ステッカー」を来場者全員にプレゼント。

 ▽モニュメント 東京D22ゲート前広場に全長約5メートルの「FOR3VER」モニュメント設置。

 ▽撮影スポット 東京Dの1階一塁側コンコース奥に、長嶋さんの代名詞「ヘルメット飛ばし」と同じポーズで写真撮影できるフォトスポット設置。

 ▽国歌 歌手で俳優の山崎育三郎が国歌独唱。

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