◆第107回全国高校野球選手権大会第11日 ▽3回戦 京都国際3―2尽誠学園(16日・甲子園)

 惜敗した尽誠学園・広瀬賢汰投手(3年)に涙はなかった。「すごく悔しいけど、仲間と一緒にやりきれたという思いです」。

エースで4番で主将。「負けたら全て自分の責任。でもその責任を与えてもらったことで成長できました」とチームを引っ張り、昨年優勝校の京都国際と互角に渡り合った。

 初回に味方の2失策で先取点を許したが、なおも2死満塁を切り抜け、2回から5回は一人の走者も許さなかった。主砲としては、5回2死満塁で一時逆転の2点打。変化球を3球見逃した後に「どこかで直球が来る。それを思い切り」と右前に運んだ。8回2死二、三塁から浴びた逆転2点打が決勝点になったが「少し甘く入ってしまったけど、一球一球を悔いなく投げられたので後悔はないです」と力を出し切った。2回戦の完封に続く完投で、計18回を自責2。打っては4打点を挙げた。

 「チャレンジャーの気持ちで立ち向かった。やっぱり強い相手でした」。

挑戦者という立場を強調したが、試合前には仲間を「同じ高校生。上に見すぎずにやろう」と鼓舞。「チャレンジャーだけど、無駄に相手を上げるのはよくない。『同じ高校生』という言葉は気持ちが楽になると思って言いました」。大会屈指の好投手・西村一毅(3年)に対しても「レベルは上だけど、食らいつくことはできる」と臆することなく戦った。

 西村太監督は大きな負担をかけることの懸念が「常にありました」と明かしながら「でも、やっぱり中心」と頼った。「真面目で冷静で、厳しい言葉もかけられる。自主練習も、勉強も寮生活もすごくしっかりやる。大人な、いいキャプテン。中心からチームを支え、自分の力も伸ばしてくれた。感謝の気持ちは大きいです」。広瀬は大阪出身だが「香川の人に感動を与えるという目標を口にしていた」と指揮官。

「そういう選手になるために頑張ってほしい。さらに上を目指して、プロを目指してやっていますから」と涙をぬぐった。

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