◆第107回全国高校野球選手権大会第12日 ▽3回戦 東洋大姫路3―2西日本短大付(17日・甲子園)

 優勝候補の一角・東洋大姫路(兵庫)が西日本短大付(福岡)との接戦を3―2で制し、2011年以来の8強入りを決めた。元阪神・桧山進次郎氏が名前の由来で、自身の打席でも桧山氏のヒッティングマーチで応援を受ける白鳥翔哉真(ひやま)左翼手(3年)が5回に決勝打。

3試合連続打点で今大会計7打点とし、93年の育英・大村直之(元近鉄など)、2000年の同・栗山巧(現西武)ら3選手が持つ県勢1大会最多打点記録9に、あと「2」に迫った。

 勝負どころでまた快音を響かせた。2―2に追い付いた5回2死一、二塁。4番・白鳥の打席を前に、相手投手が背番号1の中野琉碧(3年)に代わった。「向こうもエース。より一層、気持ちが高まった」。内角の変化球を捉えた主砲の打球は中前へ。3試合連続打点で、試合をひっくり返した。

 1、2打席目は引っかけたゴロで凡退と、決して本調子ではなかった。センター返しの意識を徹底して臨んだ3打席目だったが、「どうやって打ったかというよりも、気持ちで打った」のが偽らざる心境だ。今大会12打数6安打もさることながら、全てが適時打。驚異の勝負強さで大会の打点を7まで積み上げた。

 一塁側アルプス席には、思わぬ“ファン”の姿もあった。元阪神私設応援団の市野和則さん(59)。「♪この一打にかけろ」で始まる桧山氏の応援歌を作詞・作曲した本人だ。息子から白鳥が曲を使用していることを聞き、同校の試合を観戦するようになった。桧山氏の大ファンだった白鳥の父・一馬さん(49)とは連絡を取り合う仲で、白鳥とも昨秋の近畿大会で初対面した。「曲使ってくれてありがとうね」。「父から聞いてます!」。この日も聖地に響いた応援歌に、「ほんまにね、この曲を甲子園に響かせてくれてありがとうって気持ちやね」と目を細めた。

 準々決勝の相手は沖縄尚学。6月の沖縄招待試合で戦ったばかりで、2年生左腕・末吉良丞からの継投の前に完封負けを喫した。白鳥も2三振を喫しており、「同じ相手に2度は負けない」と決意新た。1977年以来48年ぶりの全国制覇へ―。

“夏の東洋”の翔哉真が「この一打」で、さらに打点を積み重ねる。(瀬川 楓花)

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