◆報知新聞社主催◇第19回全日本中学野球選手権大会ジャイアンツカップ ▽決勝 旭川大雪ボーイズ0-5世田谷西リトルシニア(17日・東京ドーム)

 9年ぶり3度目出場の旭川大雪ボーイズは決勝で東京の強豪、世田谷西リトルシニアに0―5で敗れた。3回に失策で2失点、4回には2安打などで3点を奪われたが、5回から登板したエース・樽井新太(3年)が3回を無失点に抑えた。

道勢初Vはならなかったがチーム史上初、道勢では2015年の小樽リトルシニア以来10年ぶりの準優勝に輝いた。

  憧れの東京ドームで、旭川大雪ナインの涙がとめどなく流れた。西大條(にしおおえだ)敏志監督(58)が「一つ勝てればラッキー」と臨んだジャイアンツカップで、全国の強豪を次々と破って初の決勝までたどり着いた。それでも、ナインには悔しさだけが残った。

 1時間44分前まで巨人・阪神戦が行われていた大舞台で先発したのは、2年のホープ・神元朔。3回2死一、二塁のピンチで前田健成(3年)と交代したが、内野のエラーで2失点すると、シニア全国選抜と日本選手権を制し今大会で3冠を達成した強敵は一気に勢いづいた。地元・東京の大応援団に押されるかのように、4回にも3点を失った。

 5点ビハインドで登板したエース・樽井が意地を見せた。「0を刻まなければ負けてしまう」と重圧がかかったが「ストレートは伸びていたし、感触は良かった」。初めてのドームでの球は目が慣れるまで見えづらかったが、ストレートを中心に打たせて取る投球で3回2安打0封。逆転はならなかったが、最後まで食らいついた。

 175センチ、58キロのスリムな体で最速134キロを誇る。

投球に安定感をつけるために、高校入学までにはあと10キロ増量することを目標にしている。憧れているのは巨人・大勢。チームから信頼を得て、勝たせることができる投手を目指している。「(この大会で)貴重な体験ができた。チームワークや決定力。相手が嫌がる野球が身についたと思う」と収穫を口にした。

 初出場の09年には1回戦で0―12と大敗した世田谷西リトルシニアに善戦し、大きな成長を披露した。悲願の道勢初優勝は、神元ら2年生の奮起にかかっている。エースは「この経験を生かしてほしい」と夢を託した。(甲斐 毅彦)

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