◆秋季高校野球静岡県予選▽1回戦 熱海・沼津工・沼津城北9―7下田(17日・愛鷹球場)

 県予選1回戦26試合が行われた。熱海・沼津工・沼津城北の連合チームは、下田に9―7で勝利。

熱海唯一の野球部員となった田口健太(2年)が、“急造捕手”として出場。2回に決勝の中前適時打を放ち、救援でマウンドにも立った沼津城北・野口佑真(2年)ら2投手をリードし、勝利に導いた。

 勝利目前の連合チームだったが、9回2死から2点差まで詰め寄られた。なお走者は二塁。カウント0―2から野口が投げたこん身のボールを打者が空振りし、田口のミットに収まった。「勝ててすごいうれしい」。2投手をリードし、9安打6四死球を許しながらもなんとか逃げ切ると、扇の要は汗をぬぐった。

 野球部員が集まらず、募集自体を停止した熱海野球部。最後の部員となった田口は、当初は3年生3人と夏での引退を決意していた。佐久間、浜北特別支援学校との連合チームで挑んだ“最後の夏”は初戦で敗退。だが、杉山聖監督(61)がすでに秋に連合での参加を決めてしまっていた。「とりあえず秋までやろうかと。

そうしたら、県大会を目標にプレーしたい、夏1勝したいなと思うようになってきた」と笑う。

 7月下旬から昨秋も連合を組んだ沼津城北6選手と、初めて組む沼津工6選手と合同練習を開始。額縁に入れる予定だったユニホーム姿でグラウンドに戻った。高校入学後は三塁手と投手。秋も夏と同じ背番号5で三塁手で臨む予定だったが、周囲から打診されて未経験の遊撃手に転向。さらに、捕手としても起用されると強肩を評価され、慣れないポジションで今大会に出場することになった。

 大会直前には、唯一の練習相手である監督に200球に及ぶ投球を行ってもらい、付け焼き刃の猛特訓。捕球技術を磨いてきた。野口は「テンポを合わせてくれるので投げやすい」と投手陣からの評判は上々だ。次の沼津東戦(23日)に勝てば、県内では春秋通じ初めての連合チームでの県大会出場が決まる。「最後の熱高野球部員として、恥ずかしくないプレーがしたい」。田口の挑戦が再び始まった。

(伊藤 明日香)

 〇…伊豆伊東は伊豆中央との“伊豆ダービー”を5―0で制した。初回先頭から3者連続四球で満塁となった後に「4番・右翼」で出場した金指敢太(2年)が先制の右犠飛を放った。「ヒットが少ない中でも、点を取るというのが伊豆伊東の野球。それを体現できた」と胸を張った。勢いそのままに3回は3点、7回にも1点を追加した。背番号1をつける金指は2番手として9回から登板。先発した土屋柊真(2年)との完封リレーを完成させた。

 〇…桐陽は裾野に11-0(5回コールド)。背番号7をつけた山本凌煌(1年)が、公式戦初出場で先発すると5回を無失点。3回の3者連続を含む6奪三振に1安打、無四球と完璧な内容。「緊張しましたが、だんだんほどけていきました」と話した。最速143キロエース袴田大駕(2年)に次ぐ右腕の活躍に新井晶登監督(49)は「非常に良かった」と喜んだ。

打線も夏を経験した鈴木陸翔温遊撃手(2年)の3安打を含む9安打に、9盗塁と機動力を絡め11得点。コールド勝ちで勢いを付けた。

編集部おすすめ