10大会目を迎えた女子ラグビーW杯は22日(日本時間23日)、イングランドで開幕する。女子日本代表「サクラフィフティーン」は3大会連続6度目の出場で、初の決勝トーナメント進出を掲げる。

神戸市出身のCTB弘津悠(はるか、24)=ナナイロプリズム福岡=は、父で神戸製鋼(現神戸)の黄金期を支えた元日本代表フッカー英司さん(57)=現神戸チームディレクター=と親子2代でのW杯選出。渡欧前に自身初のW杯への意気込みを語った。(取材、構成=大谷翔太、森口登生)

 7人制で出場した東京五輪から4年。15人制でW杯初選出の弘津は「代表の誇りと責任を持ってグラウンドに立ちたい」と決意表明した。サクラフィフティーンは過去出場のW杯5大会で94、02、17年にそれぞれ1勝したのみ。前回21年大会に続きカナダ出身の女性指揮官、レスリー・マッケンジーヘッドコーチ(44)の下、初のW杯2勝と8強を目指す。7人制で培ったランやパスはもちろん、攻守にコンタクトプレーでけん引する弘津は「世界で勝つことで、かっこいい女性像を示せる」と力を込めた。

 父・英司さんは95年W杯代表。大舞台に臨むまな娘へ「メンバーに選ばれることは名誉。与えられた役割を全うしてほしい」と期待を寄せる。バックスの弘津は、FW出身の父からのアドバイスを「口数は多くないけど核心を突く言葉をポロって(言ってくれる)」と信頼し、密集で戦うFW目線の言葉が心に刺さった。「顔を上げた時、バックスがゲイン(突破)してなかったら、めっちゃきついんやで」。

弘津は自身が相手防御を切り崩すか、押し戻されるかでチーム全体に及ぼす影響を誰より理解する。

 現在世界ランキング11位の女子日本代表は7月、国内でW杯でも対戦する同13位のスペインに連勝。8月2日に渡欧後は、9日(日本時間10日)に敵地で同7位のイタリアに15―33と敗れたが3トライで応戦した。24日のW杯初戦は同5位のアイルランド戦。父も現地応援に駆けつける一戦へ、弘津は「愚直なプレーをチームのために、し続ける。勝った瞬間を見てほしい」と燃える。男子の19年W杯で日本がアイルランドを破って初の8強入りにつなげた歓喜を再び。サクラフィフティーンが歴史を変える戦いに挑む。

 ◆弘津 悠(ひろつ・はるか)

 ▼出身 2000年10月29日、神戸市生まれ。24歳

 ▼ラグビー歴 本山南中1年時、SCIX(シックス)ラグビークラブで競技を始める。星陵高でも同クラブでプレーし、中高時代は部活のバスケットボールと両立。早大在学中からナナイロプリズム福岡所属

 ▼サイズ 身長169センチ、体重71キロ

 ▼日本代表歴 7人制では早大3年時の21年東京五輪代表。

24年パリ五輪は落選。15人制では23年7月のスペイン遠征で初選出され、現在キャップ数17

 ▼勤務先 医療機器などを扱う九州風雲堂販売(株) ▼性格 「感受性が豊か。涙もろい」(英司さんの感想)

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