◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 ペレ、ジーコ、ドゥンガ、ロナウド、ロナウジーニョ―。「ブラジルと言えば」を頭の中で巡らせると、やはり「サッカー王国」だけに多くの名手の名前が浮かぶ。

野球界、最近の巨人では20年から3年間在籍したビエイラか。そんなことを考えていたのも、巨人が「U―12ブラジル代表」と野球交流をするからだ。

 男女2チームの計32人が、7月26日から開かれた「少年軟式野球世界大会」のために来日した。23年に元ブラジル代表の金伏ウーゴ氏や円谷英俊氏、森田聡氏を同国に派遣した縁があり、今回の野球交流に至った。巨人はJICA(独立行政法人国際協力機構)と連携協定を結び、途上国の野球の普及、振興のためなどの活動を継続的に実施しており、その一環でもある。

 今回参加した中には、将来日本の高校でのプレーを望む少年少女もいるという。巨人のアカデミーコーチとして異国の子供たちと接した西村健太朗氏は、全員と言っていいほど積極的に学ぼうとしていた姿勢に「いいことですし、すごく魅力的だなと思いました。(質疑応答で)手が挙がることが日本ではなかなかない」と振り返る。意義のあるイベントだった。

 今後、同国で野球が普及していくためにはさまざまなハードルがある。関係者の一人は「まだ貧富の差も激しい。道具にお金がかかりますし、国内生産もない」とした上で、「サッカーみたいにもっと気軽に広がればいいですよね」と願う。

そんな障壁はあっても、巨人の地道な活動は、やがてNPB選手輩出のきっかけになるかもしれない。(巨人担当・田中 哲)

 ◆田中 哲(たなか・てつ) 2020年入社。楽天、日本ハムを経て23年から巨人担当。

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