ラグビー・リーグワン1部で昨季4位の埼玉は26日、熊谷市内で練習を行った。チームは2025―26シーズンに向け、25日に本格始動。

プロップ稲垣啓太が取材に応じ「僕も、最初(始動)からいるのは久しぶり。練習にスタートから入れて、チームが設けたテストもクリアしていい状態で入れた。チームの雰囲気も、悪くない」と語った。

 埼玉は今季、ロビー・ディーンズ監督が退任し、新ヘッドコーチ(HC)に金沢篤氏が就任。元日本代表フッカーの堀江翔太氏が、FWコーチに就いた。新体制となったチームで、自身の役割について「変わりましたよ。今回僕、どこをみていると思います?」と稲垣。「この僕が、アタックリーダーです。『俺が何をアタックするんだ…』と」と、冗談を交えつつ「僕も(首脳陣の)意図を分かっているので。タイトファイブ、限定されたエリアにおけるアタッカー、その選手がどういう役割を持ってプレッシャー下で技術を発揮できるか、というところを僕に落とし込んでほしい、というところ」と明かした。

 金沢HCは、稲垣について「今までと違った役割をした時に、よりチームに浸透することもある」と、プレシーズンでの起用の意図を説明。これまでグラウンド上では多くを発さなかった35歳だが、この日の全体練習後、選手数人を集めて言葉を交えながらの個別セッションを行った。

「稲垣は経験ある選手で、コミュニケーションもうまい。リーダーとして選ばれた時に、リーダーシップを発揮できる、そこに長けている」と同HC。背中で見せつつ、経験と知識も伝えていく。

 昨季終了後、始動に向けてはリフレッシュしながらもトレーニング。海外で約1か月間過ごす中でも「何で俺は、旅行に行って、スパイク履いているんだ」と、ストイックに過ごしてきた。午前5時に起床し、1時間ストレッチをしてリハビリ。午後にフィジカルトレーニングをこなし「めちゃくちゃ、体はきつかったですね。休みだから何をするとか、何をしないとかはない。自分の当たり前の、生活の一部」と、表情を変えずに淡々と話した。

 3季ぶりの優勝を目指した昨季は、まさかの4位。リーグワンでは初めて決勝を逃した。プレッシャー下でボールを奪われる点を一つの課題に挙げ「チームの弱さ。

いい時は一見、いいように見せて『これがワイルドナイツ』のような雰囲気を出すけど、実際はなんてことはない。なんとかなる、という考えが蔓延(まんえん)して、今のチームを作っているので」と指摘。「このプレシーズンで、そういうところをしっかりとたたいていきたい」と、開幕戦のBL東京戦(12月14日、味スタ)を見据えた。

 個人では、日本代表への復帰も期待される。稲垣は「(コンディションも)今整えて、もうちょっとで仕上がると思う。コンディションがよければ、パフォーマンスがよければ呼ばれると思うので」と冷静に、足元を見つめた。

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