◆JERAセ・リーグ 阪神2―0広島(7日・甲子園

 藤川監督の先入観にとらわれない起用が、独走に拍車をかけたと感じる。開幕前に遊撃は小幡と木浪の一騎打ちかと思っていたが、ここに熊谷が台頭してきた。

近年は代走の切り札のイメージが強かったが、打撃も勝負強いし、身体能力を生かした守備も悪くない。選手の適材適所を見つけることで、戦力に厚みが加わった。

 投手陣も石井が頭部に打球を受けた直後の6月は7連敗と負けが込んだが、それ以外は盤石だった。余裕をかましているように見られるが、ピッチャーの肩、肘を酷使させないように起用する米国流のマネジメントは秀逸。日本一の陣容を大事に使うことで、個々が持ち味を発揮した。

 唯一、残念なのは前川が左翼のレギュラーをつかみ切れなかったことだ。1~5番の固定と言われているが、本来は前川を含めた6番までがドシッとはまる構想を思い描いていたはず。高寺、中川らも面白いし、この競争を勝ち抜く若手が出てくれば、連覇を狙う来季がさらに楽しみだ。

(スポーツ報知評論家)

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