◆JERAセ・リーグ 阪神2ー0広島(7日・甲子園

 今季のセ・リーグで主力の長期離脱がなかったのは阪神だけだった。ここまで大きくバランスを崩すアクシデントがなく戦えた。

だが、プロ野球はそれも含めて勝負。「けが人が出たから」というのは負けチームの言い訳に過ぎない。コンディショニングの大切さを1、2軍を通して意識させた藤川監督のマネジメントの勝利と言える。

 クローザー出身の監督だけあって、体調管理を徹底したブルペン運用はもちろんのこと、守り勝つ野球がしっかりしていた。失策数は23年がリーグワースト、24年がリーグ5位だったが、今季は中日に次いで少ない。エラーが減ったことによって、投手のリズムが崩れず、攻撃面にもいい影響を及ぼした。

 スタメンも守備力を重視する傾向があった。守備力の高い小幡や熊谷を積極的に使う一方、守りに課題のある前川らは出場機会が減っていった。本塁打&打点の2冠を狙う佐藤輝の打撃も、三塁の守備力が向上したことが大きなプラス要因となっている。

 藤川監督が忘れてはいけないのは、歴代の金本、矢野、岡田監督がドラフト1位で獲得し、育ててくれた大山、近本、佐藤輝、森下という太い幹があったこと。他球団がうらやむほど投打に戦力が充実している。今年の優勝を黄金時代の幕開けとして、ぜひとも球団初の連覇を成し遂げてほしい。

(掛布 雅之)

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