◆JERA セ・リーグ 中日4―5巨人(6日・バンテリンドーム)

 チーム、そして名古屋に詰めかけたG党の祈りが届いた。巨人・吉川尚輝内野手(30)の鋭い打球はマウンド後方でバウンドした。

「なんとかなってくれ」。堅守を誇る中日の二塁手・田中が逆シングルでさばいて送球したが、全速力で一塁を駆け抜け、間一髪セーフ。三塁走者の岸田が生還し「何が起きたか分からなかった。点が入って逆転できたので、すごくうれしかったです」。とびっきりの笑顔で、歓喜に沸くベンチに人さし指を突き上げた。

 4―4の9回2死満塁。1点ビハインドから坂本の同点打で追いついた直後だった。「みんなが諦めずにやっていたので、つなげられるように」。不敗のクローザー・松山が外角低めに投じたフォークを捉えて決勝の適時内野安打。「いいところに飛んでくれて、最高の結果になって良かったです」。あと1死で敗戦からの5連打で、この日初めてのリード。全員で戦った9回だった。

 二遊間を一緒に守る泉口の活躍が安心材料だ。7月下旬に腰痛を発症して戦列を離脱した際に「泉口君らしくチームを引っ張って頑張って」と伝えた。リハビリ中はテレビで試合を観戦し「若い子らが出てきて、その中で一番試合に出て引っ張っている。元々選球眼はいいし、試合を重ねて、自信がついたと思う」。後輩の活躍がうれしかった。「尚輝さん、いつ帰ってきてくれるんですか」とこぼしていた泉口はこの日、適時打を含む2安打をマークし、自己最長を更新する17試合連続安打、22試合連続出塁。守りも堅いコンビがナインを先導している。

 3位のDeNAも背後に迫り、1試合も落とせない中での勝利。「明日も試合がありますし、チーム全員で戦って、一つでも多く勝てるように頑張っていきたい」。自身も9試合連続出塁と状態を上げてきた。ただ目の前の1試合に、全力を注ぐ。(臼井 恭香)

編集部おすすめ