パ・リーグ オリックス3―2日本ハム(7日・京セラドーム大阪)

 オリックス・山下舜平大投手(23)が、新たな一歩を踏み出した。開幕前に発症した腰のコンディション不良が回復し、今季初登板初先発。

勝敗こそつかなかったが、5回を3安打2失点で、15個のうち11個のアウトを三振で奪った。「久しぶりだったけど、次につながる投球ができた。楽しかった。(三振を)狙って取れた部分もあった。(打球が)前に飛んで、アウトカウントが進む投手ではない」と最速157キロの圧巻の内容にも涼しい顔だ。

 1軍マウンドに上がるのは昨年9月30日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)以来、約1年ぶり。胸の高鳴りを抑えてくれたのは4学年上の先輩だった。試合前にドジャース・山本の9回2死までのノーノー投球を視聴。「緊張したけど、あれを見てほぐれた」と力をもらった。

 昨秋の退寮後は体を第一に考え、ストイックな食生活を実践。高タンパクな鶏胸肉、もも肉、魚系に火を通すメニューを中心に自炊を心掛けた。栄養バランスが偏らないように野菜を添え、添加物も避けた。

基本的に調味料は塩こしょうのみ。「味は気にしない。人が見たら『これを食べるの?』ってなる食事かも…」。フルーツの後に主菜を口にすることも気にならない。夏場も100キロ前後の体重を維持し、本拠地で鮮やかに復活した。

 優勝は上位2チームに絞られつつあるが、3位からの下克上は可能。山下は「ここから日本一も狙える。1試合を大切にし、CSにつなげていけたら」と意気込んだ。「まだうまくなろうっていう思いは変わらない」。23年には9勝(3敗)を挙げ、新人王に輝いた161キロ右腕。怪物のサクセスストーリーは、第2章が幕を開けた。(南部 俊太)

 ◆山下舜平大の復帰までの経過◆

 ▼24年9月30日 ソフトバンク戦(みずほペイペイ)に8回1失点でプロ初完投。

0―1で敗戦投手に

 ▼10月中旬 腰痛でフェニックスリーグ(宮崎)と11月のウィンターリーグ(オーストラリア)参加を取りやめる

 ▼同31日 第3腰椎分離症と診断されたことを発表。23年8月の離脱時と同じ症状

 ▼25年2月3日 宮崎キャンプ初ブルペンで60球

 ▼同20日 練習試合・セガサミー戦で2回無安打無失点5K、最速155キロ

 ▼3月7日 オープン戦・巨人戦(京セラD)で腰の違和感訴え、4回途中61球で降板。開幕ローテ外れる

 ▼4月下旬 舞洲のファーム施設で再始動

 ▼7月8日 2軍練習試合で実戦復帰

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