◆プランスドランジュ賞・仏G3(9月14日、パリロンシャン競馬場・芝2000メートル)

 今週末も凱旋門賞・仏G1(10月5日、パリロンシャン競馬場・芝2400メートル)を目指す日本馬が欧州で始動する。プランスドランジュ賞・仏G3(14日、パリロンシャン競馬場・芝2000メートル)に参戦する日本ダービー馬クロワデュノールは、主戦の北村友一騎手(38)=栗東・フリー=が遠征に際して心境を語った。

 満を持して、日本ダービー馬が始動の時を迎える。8月27日の国内最終追い切り。クロワデュノールは栗東・CWコースで5ハロン69秒2―11秒4で鋭い動きをみせた。手綱を執った北村友は「しっかりと動ける態勢をつくれたなかで、フランスに向かえると思います」と手応えをつかんだ。

 同29日に出国し、31日から仏・シャンティイの小林智厩舎で調整を進めるキタサンブラック産駒。春からの変化を問うと、主戦は「もともと完成度が高かった馬ですから。変わらないのが何よりですし、変わらなくていいです」と静かにうなずいた。早め先頭の横綱相撲で押し切った日本ダービーと、変わらない状態で行けるのが何より。口ぶりからはそう感じられた。

 デビュー20年目でダービージョッキーの称号を獲得した。それでも「(特別な感情は)あまりないですね。馬を信じて、競馬でしっかりと力を出し切れたことが良かったです」と冷静なのが、普段から馬優先の彼らしい。

レース後に公開されたジョッキーカメラの最後に発した言葉がある。「全てに意味がありました」。それは皐月賞での敗戦、そして自身が大けがから復帰できたことにもつながる。「その言葉には、いろいろなことが含まれているんですよ」と柔らかな笑みを浮かべた。

 本番より距離の短い前哨戦は、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS・英G1を制したフランスのカランダガンなどが登録する。自身は23年香港マイル以来の海外騎乗で、パリロンシャンは初めてだが、いつも通り自然体で臨む。「馬場もメンバーも、分からないことだらけですから。(当地での)追い切りでまたがって、プランスドランジュ賞に乗ることで、凱旋門賞へのイメージが湧いてくると思っています。いい感触を得られているので、頑張ります」。凱旋門賞に向けた挑戦が、いま始まろうとしている。(山下 優)

 ◆プランスドランジュ賞 フランス・パリロンシャン競馬場の芝2000メートルで行われるG3。3歳限定だったが、今年から古馬も出走が可能になった。

今年の1着賞金は3万6600ユーロ(今年の固定換算レートで約597万円)。日本調教馬の出走は1985年の日本ダービー馬シリウスシンボリ(6着)以来、40年ぶり2頭目となる。同馬は次戦に凱旋門賞ではなく、同競馬場のロワイヤルオーク賞・G1に向かい、3着だった。

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