背番号には記録や数字だけではなく、さまざまな物語もある。

 「57」の條辺剛。

99年のドラフト5位で徳島・阿南工から入団した本格右腕だ。2年目の01年、長嶋茂雄監督の発案で開幕直前に背番号が「96」から「57」に変更された。

 そして開幕から4試合目の4月3日のヤクルト戦(神宮)、6回から工藤公康を救援し4イニングを無失点に抑えプロ初セーブを記録した。実はこの試合後に2軍落ちが決まっていたというが、好投で2軍行きは回避された。

 01年に46試合に登板し7勝8敗6セーブ、翌02年にも47試合で2勝(3敗)をマーク。肩を痛め4試合の登板に終わった05年シーズン終了後、現役を退いた。

 しかし、引退後にも物語はあった。08年に埼玉にうどん店をオープンした時、脳梗塞(こうそく)で療養中だった長嶋さんが左手で色紙に「條辺」「じょうべ」と屋号をサインしてくれた。その文字を染め抜いたものを店ののれんとして使用。おかげで現在も店は繁盛を続けているという。

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