巨人のリチャード内野手(26)がシーズン最終盤で本格開花の予感を漂わせている。「7番・一塁」でスタメン出場を続け、9月は打率3割3分3厘、2本塁打、9打点と好調。
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打席の中でリチャードの余裕を感じる。投手が嫌がっている気がする。豪快な一発を含め直近3戦連続マルチ安打と一気に上昇曲線を描いてきた。「まだまだ」と表情を引き締める姿が、充実ぶりを際立たせる。脅威の7番打者として2位奪取を狙うチームの原動力となりつつある。
5月にソフトバンクからトレードで加入した大砲。6月は2軍生活を経験したが、7月に再昇格すると後半戦はレギュラーに定着している。抜群の長打力を持ちながら、その力を試合で安定して発揮できていなかった以前の姿はもういない。
成長の秘密は見極める力が向上したことだ。亀井打撃コーチは「だいぶ低めの変化球を見送れるようになってきた」と好調の要因を分析。ボール球を振らないから有利なカウントをつくれ、狙い球を絞れる。
日々の練習が実を結ぶ。「継続力」をテーマに亀井コーチと一緒にティー打撃。ルーチンを確立することで調子の変化に気がつけるようになっているという。さらにフリー打撃ではリチャードが「より実戦向けの打撃をするように」と語るように、気持ち良く飛ばすのではなく、実戦を意識して逆方向や低い打球を繰り返し打つようになった。その姿を「すごく丁寧に打つようになっている」と亀井コーチも認める。丁寧な練習と、阿部監督が辛抱強く起用したことで得られた試合経験が進化を加速させている。
14日のDeNA戦(横浜)で自身初の10号に到達。甲斐と松原がマークした育成ドラフト入団選手のシーズン最多本塁打12本の更新も射程に捉えている。17日からはヤクルト2連戦(神宮)。ヤクルト戦は今季打率3割2分3厘、3本塁打、11打点だ。神宮に限定すると、12打数6安打、2本塁打、9打点と“神宮男”と化している。