パ・リーグ ソフトバンク3―2日本ハム(18日・みずほペイペイドーム)

 ソフトバンクが2位・日本ハムを直接対決で退けて、マジックを7に減らし、ゲーム差を今季最大の4・5に広げた。1点ビハインドの8回に栗原陵矢内野手(29)の7号ソロで追いつくと、その後も打線がつないで代打・川瀬晃(28)の押し出し四球で勝ち越し。

小久保裕紀監督(53)も本拠地9連勝中だった先発・大関友久投手(27)を3回途中で交代させるなど、執念の7人継投で逆転勝利に導いた。

 声を枯らしたナインが、さらに大きな声で力強くハイタッチを交わした。「マジで疲れた、こんなの久しぶり」。そう言葉を振り絞った栗原が起死回生の同点7号ソロで空気を変えた。1点を追う8回1死。古林の初球、152キロを右翼ホームランテラス最前列へ運んだ。「出したことのない高さの声を出して塁を回っていた」。ここから打線がつながり、代打・川瀬の押し出し四球で逆転した。

 序盤から劣勢。7回1死満塁では近藤、牧原大が連続三振に倒れた。絶好機を絶好の打順で逃した後、さらなる底力。ヒーローは守備でも先制を許した2回、なおも2死満塁でレイエスの三遊間のゴロを横っ跳び。

小久保監督は「あれが抜けていたらワンサイド。栗原に尽きる」と声がうわずった。

 栗原は2回無死一塁でも一時同点を呼ぶ右翼線二塁打など、連日の猛打賞。右脇腹痛から8月29日に復帰し、9月は13試合で打率4割2分6厘、11打点の大暴れだ。リハビリ中の8月に指揮官から連絡。「9月においしいところを持っていくイメージをしておけよ」。まさに、その通り。優勝争いを「うらやましい」と見ていた男が「こういう舞台に立てて、幸せを感じています」と汗をぬぐった。

 指揮官も一戦必勝の采配で舞台をつくった。3回に連打で無死一、二塁を迎えたところで、チーム最多タイの12勝、本拠地9連勝中の大関を交代。7回は藤井、8回は松本裕を今季初めて追う展開で投入した。「延長を考えずにつぎ込んだ。

8回までが勝負」。クローザーの杉山以外の主力投手を使い切ったところでドラマ。敗れても優位は揺るがない状況で迎えた一戦だが、この1勝に全力を注いだ。

 就任1年目から2年連続の80勝は15、16年の工藤監督(ソフトバンク)に次いで史上2人目。小久保監督は「大変有利になったとは感じていますけど。まだ何が起こるか分からないという気持ちで」と気を引き締めた。マジック7、2位と今季最大4・5差で20日からの9連戦へ。最短23日のリーグ連覇に向け、大きく前進した。(安藤 理)

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