◆JERA セ・リーグ 巨人5―4広島(19日・東京ドーム)

 山崎は拳を突き上げ、二塁ベース上で感情を爆発させた。歓声に包まれ、その後ベンチヘ両手を掲げた。

同点に追いついた4回2死一、二塁。大瀬良の初球を捉え、右翼線へ勝ち越し二塁打を放った。さらに1点リードの6回2死二、三塁では右翼フェンス直撃の2点二塁打だ。

 1試合で打点が付く長打2本以上を放った投手は、球団では1987年の桑田真澄以来だ。その桑田2軍監督から常々言われてきた「打撃が投球を助けてくれる」との言葉を信じ、バットで自己新の11勝目をつかんだ。「走者がいたのでバットに当ててなんとかしようという思いで立った」と汗を拭った。

 ただ、ベンチでは悔しさをにじませた。投げては6回2/3を7安打4失点。初回2死一、二塁で坂倉の右中間への2点二塁打で先制を許し、7回にはファビアンに1点差に迫られる左翼への2ランを被弾。「立ち上がり大事な試合で慎重になったけど、大胆にいかないといけない」と反省した。それでも最速150キロの直球に多彩な変化球で初回以外毎回の8K。阿部監督からは降板時に「お前が打ったんだから」と背中をたたかれた。

数日前の試合前練習では大勢、小林とロングティー対決を行いサク越えを連発。この日もフェンス直撃の力強い打撃で自らの失点を取り返した。

 23年に結婚した愛する妻のサポートが安定感につながった。開幕から好調でエース格に君臨。支えになっているのは妻の食事だ。「食べることは好きじゃない。野球をしてなかったら一食でもいい」と興味がなかった。だが、結婚後は妻が食事を管理。「最初の方は『これで合ってるかな? 栄養士さんに聞いて~』って言ってたけど、最近は分かってきたみたい」。夫のために勉強しながら日々の食卓に工夫を凝らす。献身的なサポートに、山崎は「揚げ物はもう2年ぐらい家で出てへん。食べへんことが当たり前になれば食べない。

3年ぐらいしっかり投げられているのもそのおかげやと思う」と感謝する。

 お立ち台で「チームが勝つことが今は一番。何とか2位になって、東京Dで試合ができるように頑張っていきます」と声を張り上げた。愛妻の支えを受けながら、エース格として最後の最後までチームを引っ張る。(水上 智恵)

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