◆JERA セ・リーグ 巨人5―4広島(19日・東京ドーム)
山崎は個々の球を見ると、大した投手じゃないんだよ。初回に坂倉に打たれた2点二塁打は、フォークが落ちなかった失投だし、7回に浴びた2ランも甘いカットボール。
ただ、彼の良さは、球種を多彩に投げることで打者に迷いを生じさせることができる点。コーヒーやワインをブレンドして味わいを深めるように、球種をまぜ合わせる相乗効果で空振りが取れ、三振が奪えるんだ。いい球を持っているのに、組み合わせる力がないために結果が出せない投手の方が多い中で、そのうまさは一級品だね。
自らの2本の二塁打で取った3点は、まさに「芸は身を助ける」打撃だった。この3点がなければ7回のマウンドに立てなかったかもしれないし、打力も山崎の「ブレンド力」に加えていいだろう。
2年後の27年からセ・リーグもDH制が採用される。山崎の打撃で試合が決まったとも言える、この日のようなゲームを見ると、DH採用は寂しい気がするんだよな。(スポーツ報知評論家・堀内 恒夫)