◆第78回秋季全道高校野球大会札幌地区予選▽Cブロック1回戦  酪農学園大とわの森三愛5―2 札幌東陵(20日・札幌円山)

 7地区で17試合が行われた。札幌地区の酪農学園大とわの森三愛は、5―2で札幌東陵に勝利。

外傷性くも膜下出血などのアクシデントを乗り越えた8番・岩佐琉杜二塁手(2年)が、先制打を含む2安打1打点で勝利に貢献した。札幌新陽は、背番号9の佐々木塁投手(2年)が9回1安打で完封し、恵庭南を6―0で下した。

 酪農学園大とわの森三愛・岩佐が秋初戦で躍動した。両校無得点で迎えた2回無死満塁。公式戦初スイングでスライダーを捉えた。中前にはじき返すと、三塁走者が生還。塁上で人さし指を突き上げた。主将の先制打から打線がつながり一挙5得点。打者一巡の猛攻で一気に突き放した。

 約1年前、岩佐は病床で痛みと闘っていた。昨年9月22日の練習中、キャッチボールをしていたチームメートの送球が右側頭部を直撃。一時的に意識を失い、目を覚ますとグラウンド上で倒れていた。

すぐに病院で診察を受け、外傷性くも膜下出血と脳挫傷と診断された。

 入院は約1週間におよんだ。上半身全体が痛み、「寝るのもつらかった」。睡眠薬も服用しながら、苦しい日々に耐えた。退院後、約2か月後から練習を再開。幸いにも後遺症はなく、夏の敗戦後には主将を任された。

 1、2年生で59人という大所帯の新チームは、夏の大会終了後から練習試合約80試合を消化。7番・松本旺士(おうじ)三塁手(1年)が2軍スタートから秋初戦でスタメンを勝ちとるなどメンバー争いは熾烈(しれつ)で、「たくさん入れ替えがあったので、みんな必死でした」と岩佐。チーム内の競争で強化を図ってきた。

 2年ぶりの全道出場を目指す秋。札幌日大や札幌第一といった強豪校と同じブロックに入ったが、「やってきたことを信じて強気で攻めていきたい」。命に関わる可能性もあったアクシデントを乗り越えた背番号4は「グラウンドに立てていることは当たり前じゃない」と、野球ができる喜びをかみしめながら、ダイヤモンドを駆け回る。

(島山 知房)

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