◆スプリンターズS追い切り(24日・中山競馬場)
秋GⅠ開幕戦の第59回スプリンターズS(28日、中山)の追い切りが24日、各地で行われた。
静寂の競馬場に、力強く馬場を蹴り上げる音が響いた。
本番と同じ舞台を経験できたのは大きい。鞍上は昨年の高松宮記念(ビクターザウィナー)で3着など日本で経験があるが、馬自身はもちろん初。「中山の芝がすごく短くて走りやすかったので、馬がとても気に入っていました。中山の急坂はハッピーヴァレー(競馬場)とよく似ています。ただ、坂の距離が短いので逆に走りやすいかも」と適応への手応えを感じていた。
G1・4勝を誇る香港のトップスプリンターだが、24年4月の香港スプリントCの後、左前脚の骨折が判明した。今年4月のチェアマンズスプリントプライズ・G1で復帰し、〈6〉〈4〉〈2〉着と着実に前進。マン調教師は「(秋初戦の)前走も勝ったのは世界1位(カーインライジング)。そのときは(直前の雨で)馬場が合わなかったというのもあった」と分析した。
前走から着用しているヴァイザー(深めのブリンカー)の効果で反応が良化。2走前からコンビを組むリョンが「もともと王様のイメージがあったが、実際に乗ってみてプロフェッショナルな馬だと感じた」と評する香港の刺客。虎視たんたんと10年のウルトラファンタジー以来、15年ぶりのVを狙う。(西山 智昭)