◆凱旋門賞・G1(10月5日、フランス・パリロンシャン競馬場・芝2400メートル)
世界最高峰のG1、第104回凱旋門賞(10月5日・日本時間23時5分発走、仏パリロンシャン競馬場)に、今年の日本ダービー馬のクロワデュノールを送り込むクラブ法人「サンデーレーシング」の吉田俊介代表(51)がインタビューに応じた。ノーザンファームの副代表も務め、ビザンチンドリーム、アロヒアリイと生産馬3頭での挑戦。
日本のトップホースが何頭も挑んで、はね返されてきた凱旋門賞。今年は自らが代表を務めるサンデーレーシングのダービー馬を含め、副代表を務めるノーザンファーム生産の3頭が出走する。
「オルフェーヴルの最初の2着のあと、十何年間も勝てないとは思わなかったです。挑戦すればするほど遠くなりました。フランスは日本とは全然違う競馬ですが、『日本の一番強い馬が行けば』と思わせてくれたのはディープインパクトであり、オルフェーヴルですね」
日本を代表する2頭の3冠馬でさえ届かなかった世界一の座だが、くしくもクラシック3冠を逃したことで挑戦が決まったのが今年のダービー馬クロワデュノールだ。
「最初、凱旋門賞の話はしていませんでしたが、皐月賞のレース直後に斉藤崇史調教師に呼び止められて、『(2着に)負けたので登録していいですか?』と。ダービーを勝たないと行かないよ、と伝えたのですが、おそらく皐月賞、ダービーと勝っていたら行かなかったと思います。3歳のうちに挑戦できるのは、(斤量面で)いい部分もあるかなと思っています」
前哨戦に選択したのはプランスドランジュ賞。日本のファンには聞き慣れない重賞だが、この仏G3から本番に向かう臨戦には陣営の緻密(ちみつ)な戦略があった。
「斉藤崇調教師の強い希望もあったのですが、(近年の凱旋門賞は)ゆったり流れて、しまい勝負になるようなケースが多く、このレースはそんな展開になると読んで、(本番まで)中2週を差し引いても前哨戦としてはいいかなと」
予想通り、序盤が極端に遅く終盤に一気にペースが上がる独特の展開(※)を経験できたうえ、良化途上で勝ってダービー馬の貫禄を示した。残り2頭も前哨戦を勝利し、例年以上に日本馬に注目が集まっている。
「ビザンチンドリームは向こうに行って9日間でのレース(フォワ賞)でした。決して悪い状態ではなかったですが、あくまで本番は先というなかで結果を残せたのは良かったです。アロヒアリイの遠征を決めたのは全て(鈴木剛史)オーナーですし、クラブの馬だと組めなかったローテーションだなと。オーナーさんの夢で実現した(ギヨームドルナノ賞の)勝利であり、凱旋門賞挑戦ですよね」
今年はノーザンファーム代表の父・勝己氏、ビザンチンドリームの馬主である母・和美氏も現地入りを予定。毎年、世界のレベルの高さを痛感しつつ、それでも挑戦し続ける理由はひとつだ。
「昔から(前哨戦で)たいしたことないなと思った馬が1、2段階も状態が上がって出てきたりしますからね。特にフランスの調教師さんは一番の目標なんだなと感じます。だからこそ僕らも勝ちたいレースです」
世界一の座を目指し、3頭の強力布陣で挑む。
(※)重馬場の芝2000メートルで前半1000メートル通過は1分10秒41の超スローペース。日本ダービーの同通過は1分0秒0だった。
◆吉田 俊介(よしだ・しゅんすけ)1974年4月13日、北海道生まれの51歳。慶応大学卒業後、98年からの米国研修を経て、ディープインパクト(05年)で牡馬3冠を達成するなど日本を代表する名馬を数多く送り出したノーザンファームに入社。