大相撲秋場所で優勝決定戦を制し、横綱昇進後の初優勝を飾った大の里(25)=二所ノ関=が29日、茨城・阿見町の二所ノ関部屋で一夜明け会見を行った。本場所覇者として迎えるロンドン公演(10月15~19日、ロイヤル・アルバート・ホール)では、土俵入りなどで相撲の世界的普及にも意欲を見せた。

また、九州場所(11月9日初日・福岡国際センター)で賜杯を抱けば、日本出身では1996年の横綱・貴乃花以来の年間4度目Vとなる。大横綱の系譜に名を連ね、25年を締めくくる。

 激闘から一夜明けても疲れは見せなかった。大の里は「今までの優勝とはひと味違う」と大きく息をついた。千秋楽は過去1勝6敗(不戦勝を除く)だった豊昇龍(26)=立浪=に本割で敗れ、13勝2敗で並ばれたが、16年ぶりの横綱同士の優勝決定戦を制した。昇進後初Vで、日本出身横綱では17年春場所の稀勢の里以来の優勝に「回数を重ねてやっていきたい」と喜びもひとしおだった。

 九州場所前には91年10月以来、34年ぶりに2度目のロンドン公演が行われる。海外公演は05年米ラスベガス以来14度目で、現地との国際親善も図ることから「裸の大使」と言われてきた。大の里は「海外の相撲ファンも楽しみにしていると思う。相撲が世界的に注目されるようになってほしい」と“世界デビュー”への意気込みを語った。前回のロンドン公演は横綱だった北勝海(現・八角理事長)が制し、閉会式で英語でスピーチを披露。今回も同じケースが予想され「そういうことになったらしっかりと頑張りたい」と大の里は横綱の責任感をにじませた。

 来場所も制すと、日本出身では96年の貴乃花以来の年間4度Vだ。巡業の移動のバスで、貴乃花の現役時代の映像を見ていることを明かし「いろいろ勉強し、近づけるように頑張りたい」と尊敬の念を示した。他には大鵬、北の湖、千代の富士と大横綱の名が並ぶ。東京開催では直近5場所中4度Vも、昨年九州場所は新大関としての重圧で入幕後ワーストに並ぶ9勝。「地方場所はあまりよくない成績なので気を引き締めたい」。一年納めの場所も制し、名実ともに“角界の顔”となる。(山田 豊)

 ◆25年ロンドン公演 10月15~19日に、英ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開催予定。海外公演は05年の米ラスベガス以来20年ぶり、ロンドンは91年以来2度目。海外公演は65年から計13度実施。5日間の公演で土俵入り、幕内力士の取組を披露する。

編集部おすすめ