◆テニス ▽木下グループ・ジャパン・オープン最終日(30日、東京・有明コロシアム)
初来日した世界王者カルロス・アルカラス(スペイン)が、1回戦で痛めた左足首の不安がありながら、ついに初優勝を飾った。2011年以来の第1、2シードの対戦となった決勝で、同5位のテーラー・フリッツ(米国)に6-4、6-4の1時間33分でストレート勝ち。
最後、食らいつくフリッツをいなすかのように、真骨頂のドロップショットを2発だ。ともに絶妙な間と弾みで、相手はぼう然と見送った。コート上で両手を突き上げ、全身で優勝の喜びを表すと、大歓声が応えた。
試合後、すぐに向かったのは、ツアーのトレーナーのところだ。はさみを借り、左足首を固定していたテーピングを切った。1回戦で第1セットの2オールの時だった。ドロップショットを追ったアルカラスの左足首に異変が起きた。
「不運だった。ひねったように感じた」。突然、アルカラスは右片足1本で跳びはね、コート上に座り込んだ。
大会は、万全の受け入れ態勢を整え、アルカラスを迎えた。専用のスタッフや、救援班などを準備し、世界王者を支えた。「自分のチームや大会のケアには本当に感謝している」。表彰式後、記念の撮影でボールボーイやガールに囲まれて口にしたのは、日本語で「アリガトウ」だった。