【ホノルル(米ハワイ州)16日(日本時間17日)=直川響】巨人・田中将大投手(37)が、オアフ島のプリンスワイキキで開催された日本プロ野球名球会の総会に初参加した。今季、日米通算200勝を達成したレジェンドも、名球会では“1年生”。

開始30分前から入り口に立って偉大な先輩たちへあいさつを繰り返し「10代、20代前半に戻ったような気持ち」と初々しく語った。

 常夏の島で、田中将は平身低頭だった。王貞治氏、古田敦也氏、佐々木主浩氏…。球界の重鎮がそろう名球会に初めて足を踏み入れたマー君は、開始30分前から総会の入り口付近に立った。小学校の同級生でもある坂本からは「なんでそこ立ってるん?」と笑顔でつっこまれたが「1年目やから皆さんにしっかりあいさつしないと」とキッパリ。同じく“名球会1年生”の浅村(楽天)とともに、直立不動で会場入りする先輩へ丁寧に頭を下げた。

 実直な新会員の姿に、先輩たちも目を丸くした。通算2050安打の元中日・和田一浩氏は「いいよ、いいよ。そんなことしなくて。そこまでしてる人いないから」と驚いた。阿部監督とも握手をかわし、最後の一人に対してまで欠かさずお辞儀を続け「あそこが皆さんに一番、あいさつしやすい。あいさつできて良かった」と胸をなで下ろした。

 どこに視線を向けても、若い頃から憧れたレジェンドがいる。駒大苫小牧時代の甲子園、楽天時代の2013年日本シリーズ…。大舞台で強心臓ぶりを見せてきた男でさえ、普段通りではいられなかった。「もう本当、とにかく緊張、緊張しますので(笑)。10代、20代前半の時にフィールドで対戦していたような先輩たちがたくさんいて。その頃に戻ったような気持ちでした」。若手時代に稲葉篤紀氏、内川聖一氏らと熱い勝負を繰り広げた日々を回顧しつつ、「なかなか…そういう気持ちになるのも久しぶりだな」と感慨にふけった。

 気温25度のハワイでの会合。穏やかな日が差し込むホテルで今年の活動内容や来年の活動予定の説明を受け「現役という立場なので、難しいところもありますけど、オフシーズンであればできる限り力になりたい」と意欲を示した。

 「偉大な先輩方がたくさんいる中に入って、実感はわきました」。今オフはG球場などで自主トレ。調整は順調で「コンディションはこの3年とかだと一番いい」と手応えを感じている。

201勝目、さらにその先を目指す26年。現役の名球会員としての誇りを胸に、日米20年目へ向かう。(直川 響)

 ◆主な巨人選手の名球会デビュー

 ▽清原和博(04年12月) 37歳でハワイ・ホノルルでの総会に初出席。王貞治氏、金田正一氏らそうそうたるメンバーを前に「名球会では一からパシリでやらせていただきます」。

 ▽阿部慎之助(17年12月) 38歳でハワイ・ホノルルでの総会に初出席。王氏ら大先輩を前に緊張でガチガチ。「勇人はあと2、3年のうちには名球会だろうし、早くこっちに来て重圧から俺を救ってほしい」と坂本に助けを求めた。

 ▽坂本勇人(22年12月) 34歳の誕生日の5日前に那覇市内で行われた総会に初出席。冒頭で山本浩二氏らを前に「まだまだ若いので、これからも精いっぱい頑張ります」とあいさつ。「すごく緊張しました」

 ◆日本プロ野球名球会 1978年に設立。球界発展を目的に野球教室や慈善活動などを行っている。入会資格は時代とともに変化し、かつては「投手200勝以上」「野手2000安打以上」だったが、投手は「200勝または250セーブ以上」が対象になり、日本人大リーガーの活躍に伴って日米通算記録も入会資格に加えられた。

公式HPによると現在の会員数は投手17人、野手47人の計64人。

 ◆ハワイ名球会総会の出席者(敬称略) 王貞治、東尾修、駒田徳広、古田敦也、山本昌野村謙二郎、佐々木主浩、金本知憲、高津臣吾、宮本慎也谷繁元信、稲葉篤紀、和田一浩、小笠原道大、岩瀬仁紀、アレックス・ラミレス上原浩治松井稼頭央、阿部慎之助、内川聖一、大島洋平、坂本勇人、田中将大、浅村栄斗

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