子どもが生まれると仕事は止まるのか。それとも別の力を得る機会になるのか。

育児を巡る認識は、世代とともに変わりつつある。株式会社ベター・プレイス調べでは、その変化が数字として現れ始めていることを示している。

東京都では、育児を「休み」ではなく「大切な仕事」と考える愛称「育業」の理念を浸透させ、多様な主体と連携して、育業を社会全体で応援する気運醸成に取り組んでいる。2026年1月に未就学児と同居する男女377人を対象に実施された調査では、65%以上が育業を経験していると回答した。特に20代男性では約70%に達し、他の世代を大きく上回る結果となった。女性では20代の取得率が95%以上と高く、若い世代ほど育業が一般的な選択になっている。

 家庭への影響では、6割以上が子どもとの関係が深まったと回答し、パートナーとの協力体制の強化が44.4%、家族間の会話増加が29.0%と続いた。育児への関与が家庭内の関係性を変える契機になっている様子がうかがえる。

 仕事への影響も無視できない。64.5%が仕事にプラスの影響があると答え、時間配分や優先順位付けの能力向上が34.0%、コミュニケーション力の向上が33.1%と、業務に直結するスキルの変化が挙げられた。育児経験が職業能力の形成に結びついている可能性が示されている。

 一方で、家計への影響は単純ではない。

育業経験者の約7割が収入の減少を経験している。ただし、その過程で家計の見直しが進み、保険の見直しが35.5%、予算管理の見直しが33.7%、預貯金や積立の調整が31.7%と続いた。結果として、月1万~3万円の改善を実感した人が28.0%に上るなど、支出構造の変化が数字に表れている。

 将来への備え意識も高まる。約65%が育児をきっかけに資金準備を意識するようになり、余剰資金の使い道としては積立投資が49.7%、現金貯蓄が46.3%と並ぶ。収入減の局面でも資産形成へとつなげる動きが見られる。

 育児は負担という見方だけでは捉えきれなくなっている。収入減という現実を伴いながらも、家庭関係やスキル、家計の見直しに影響を及ぼす複合的な出来事として位置づけられ始めている。若い世代の選択の変化は、働き方の前提そのものを書き換えつつある。

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