ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケートペアで、史上初めて金メダルを獲得した三浦璃来、木原龍一(木下グループ)組が17日、連名で現役引退を発表した。「りくりゅう」を結成から7年、五輪金をはじめ世界選手権優勝など、数々の金字塔を打ち立ててきた。

日本フィギュアの歴史を紡いできた2人が、新たなステージに踏み出す。

 7年前の出会いが、2人の人生を変えた。2019年夏。「りくりゅう」が誕生した。当時はカップル競技の注目度は低く、試合現場でも報道陣の数は数えるほど。シングルに比べて圧倒的に少なかった。2人の努力が世界を変えた。猛スピードで育まれていった実力、2人の相性と人柄。彼らを囲むメディアの数は、シーズンを重ねるごとに増えていった。

 「りくりゅう」はとにかく仲がいい。2022年北京五輪の頃だった。木原が「兄妹みたい。

不満はゼロ」と言えば、三浦も「120%信頼している。久しぶりに氷に乗ると怖くなるけど『絶対落とさないから。下敷きになってあげるから』って言ってくれる。何も怖くない」とほほえみ返す姿があった。

 険悪な雰囲気になる時は食べ物がからむ。4年前のインタビューで、拠点カナダでの「あんぱん事件」を明かしてくれた。日本の味が恋しいだろうと、木原は三浦のために日本食スーパーでつぶあんパンを買った。喜んでくれるだろうと差し出した。「私、こしあん派」とバッサリ斬られた。「このやろーと思って(笑)。そんな日常です」。

 意見がぶつかりイライラした時、木原は三浦が大事にしていたじゃがポックルをこっそり食べたこともある。

北京五輪後、経由地の羽田で三浦が購入し、大事に少しずつ味わっていたものだ。「あれ、袋が…袋が減ってる!」と慌てる三浦に「むかついたから食べちゃった」。代わりにうなぎパイを差し出し、三浦の怒りを沈めた。戦友であり、友人、家族のようでもあった。適度なストレス発散が支えてきた、「りくりゅう」の円満生活。2人の信頼関係が、揺らぐことはなかった。(高木 恵)

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