自民党の文部科学部会と国土交通部会は16日、3月16日に沖縄県名護市辺野古沖で発生した同志社国際高の船転覆事故に関する政府への提言をまとめた。

 研修旅行中の生徒が亡くなってことについて「極めて遺憾」とし、関係団体の対応については「真摯(しんし)に事案に向き合っているか、疑問を禁じ得ない」と指摘。

「特定の見方に偏った教育が行われることはあってはならない」と批判した。

 また、事故原因の徹底究明、修学旅行などにおける安全確保、特定の見方に偏らない適切な教育活動の実施を政府に強く求めている。

 提言では、事故を起こした船舶が海上運送法の事業登録を受けていなかったことを踏まえ、国土交通省に対し迅速な関係者への調査と、同法に基づく事業登録の要否についての判断を求めた。

 さらに、同法の登録を受け、安全対策が徹底された事業者を利用することの重要性を周知・啓発し、第三者からも登録事業者であるか識別しやすい仕組みの構築を検討するよう要請した。

 海上保安庁に対しては、捜査に全力を尽くすとともに、国土交通省などと連携した小型船舶への安全指導など安全対策の強化を求めている。

 修学旅行などにおける安全確保について、事前の実地調査、引率体制の確保、関係業者の十分な調査、保護者への詳細な説明などを全国の学校に徹底させることを明記した。私立学校については、所轄庁である都道府県知事から必要な指導・助言を徹底するよう求めている。

 また、学校保健安全法第29条に基づく「危機管理マニュアル」の内容について改めて点検を行うよう各学校に徹底するとともに、国における「学校の『危機管理マニュアル』等の評価・見直しガイドライン」の必要な見直しを図るよう求めた。今回の船舶は高校側が直接手配したものだが、旅行業者に依頼する場合も両者が責任を持つべきとしている。

 教育内容についても踏み込んだ。教育基本法や学習指導要領などにのっとり、適切な教育活動が行われていたかについて、客観的な事実や根拠に基づき所轄庁の京都府とともに徹底的な確認を行うことを要請した。「平和教育の名の下に、特定の見方に偏った教育が行われるようなことはあってはならない」と指摘し、全国の学校に対しても規定を遵守し、特定の見方や考え方に偏った取扱いを行わないよう求めている。

 同時に、教育活動の趣旨や内容について児童生徒や保護者に根拠を持った丁寧な説明を行い、十分な理解を得るよう周知することを求めた。

 以下、全文

 本年3月16日、同志社国際高等学校における研修旅行中に生徒が乗船している船が転覆し、生徒に死傷者が出る重大な事故が発生した。学校の管理下での教育活動中に、我が国の将来を担う生徒が犠牲になったことは、極めて遺憾である。今回の事故に関して、強い憤りを持つとともに、その後の学校法人や同校、船舶運航関係団体の対応に関しても、真摯に事案に向き合っているのか、疑問を禁じ得ない。また、平和教育の名の下に、特定の見方に偏った教育が行われるようなことはあってはならない。

 以上の認識の下、我々として、本件の重大性を社会に訴えながら、このような事故を二度と起こしてはならないという強い決意で取り組んでいく必要がある。 このため、自由民主党文部科学部会及び国土交通部会として、

 「1.原因の徹底究明等」、

 「2.全国の学校における修学旅行等の安全確保の徹底」、

 「3.適切な教育活動の実施」

 について、特に、政府が重点的に講ずべき対策を以下のとおり提言する。

 なお、政府においては、今回の事案の検証を踏まえ、「学校における校外活動の安全確保の徹底等について(通知)」において求めた校外活動時の安全確保、修学旅行等における対応、適切な教育活動の実施等に関する事項について、全国の学校等における取組状況をフォローアップすることを求める。

 1.原因の徹底究明等

 今般の事案に関し、現在、国土交通省や文部科学省において調査が進められているところであるが、迅速かつ詳細な調査を引き続き進め、原因やその背景の徹底究明・責任の所在の明確化を行うこと。その上で、それらの原因や背景等を踏まえた再発防止を徹底すること。

 今般の転覆事故が海上運送法の事業登録のない船舶によるものであったことを踏まえ、国土交通省は迅速に関係者への調査を行い、同法に基づく事業登録の要否について判断すること。また、事業登録のない船舶による今後の事故被害を防止するため、船舶運航者及び利用者向けの周知・啓発を図ること。

特に、海上運送法の事業登録を受け、安全対策が徹底された事業者を利用することの重要性について利用者の理解・浸透を図るとともに、事業登録を受けた事業者であるか否かを第三者から識別しやすくするための仕組みの構築について検討すること。

 海上保安庁においては、法と証拠に基づき、捜査に全力を尽くすとともに、国土交通省等関係機関と連携した小型船舶への安全指導の実施等、安全対策の強化を図ること。

 2.全国の学校における修学旅行等の安全確保の徹底

 全ての児童生徒・保護者が安心して修学旅行等に参加することができるよう、事前の実地調査、引率体制の確保、関係業者の十分な調査、児童生徒・保護者への詳細な説明など、修学旅行等における安全確保について、全国の学校における対応を徹底すること。その際、学校における対応のみならず、学校の設置者においても、その責任と権限の下、所管の学校における安全確保の取組が十分であるかについて、確認・見直しを行うよう、対応の徹底を図ること。

 私立学校の所轄庁である都道府県知事においても、所轄の私立学校及び学校法人に対する必要な指導・助言を徹底すること。その際、必要に応じ、教育委員会の専門的援助等を得られることも踏まえ、適切に対応すること。

 今般の事故の検証結果を踏まえ、各学校において、学校保健安全法第29条に基づく「危機管理マニュアル」の内容について改めて点検を行うよう徹底するとともに、国において、「学校の『危機管理マニュアル』等の評価・見直しガイドライン」についての必要な見直しを行い、更なる徹底を図ること。

 なお、今般の船舶は旅行業者が手配したものではなく、学校が直接選定・手配したものであるが、旅行業者に手配を依頼する場合は、学校及び旅行業者の両者で責任をもって安全確保の徹底を図ること。

 3.適切な教育活動の実施

 同志社国際高等学校における今回の事案に関し、教育基本法や学習指導要領等に則り、適切な教育活動が行われていたか否かについて、客観的な事実や根拠に基づき、所轄庁である京都府とともに徹底的な確認を行うこと。

 全国全ての学校において、教育基本法や学習指導要領等の規定を遵守し、特定の見方や考え方に偏った取扱いを行うことのないよう、適切な教育活動の実施を図ること。また、児童生徒や保護者に対し、教育活動の趣旨や内容について根拠を持った丁寧な説明を行い、十分な理解を得ることについても、併せて周知すること。

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