◆女子プロゴルフツアー メジャー初戦 ワールドレディスサロンパスカップ 第1日(7日、茨城GC西C=6718ヤード、パー72、報知新聞社後援)

 大会最終日が「母の日」と重なることが多いシーズン最初の国内メジャー。2008年にメジャー昇格後、数々のドラマが生まれてきた。

その名場面を4日間連載で振り返る。初回は2014年大会(茨城GC西C)を制した成田美寿々。

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 2014年5月11日。2打差2位から最終日をスタートした成田は6バーディー、1ボギーの67で回り、通算9アンダーでツアー通算3勝目。メジャー初優勝を逆転でつかんだ。21歳215日での大会制覇は当時の大会最年少記録だった。

 最終18番。首位に並んでいた、2012年全米女子プロ選手権女王のフォン・シャンシャン(中国)が90センチのパーパットを外した。それを見た成田は「今までにないくらい手が震えた」と緊張をほぐすように両腕をぶらぶらさせた。50センチのパーパットを慎重にカップに沈めると、喝采の中で両手を突き上げた。

 大会史上2番目(当時)となる4日間合計3万1464人ものギャラリーが詰めかけた、春のメジャー初戦。成田が日米のメジャー覇者2人と渡り合い、主役を演じた。

1番で残り98ヤードからの第2打を、ウェッジでバックスピンをかけてベタピンにつけてバーディー発進。「しっかり攻めて60台を出したい」と、得意のショットでピンを攻め続けた。

 パー3を除く14ホールでフェアウェーを外したのは3度だけ。「イケイケだった」と、7番で8アイアンでの第2打をピンそば50センチにつけて伸ばし、首位に並んだ。この日のベストスコア67をマークし、世界ランク8位のフォン、2010年&13年日本女子オープン覇者の宮里美香を破り、悲願のメジャー初制覇。「信じられない。海外メジャーを勝ってる人に勝てるとは思わなかった」と目尻を下げた。

 オフの肉体改造の成果が実った。今年1月はクラブは一切握らず。インターバル1分間の400メートルダッシュを8本など、下半身を徹底強化。ウェートトレーニングも取り入れ「筋肉量が増えた」とスピンの効いた力強いアイアンショットで、硬くて速い難グリーンを攻略して見せた。

 メジャー初制覇の喜びを応援に訪れた両親と分かち合った。

実は、母・和子さんと双子の伯父は第3ラウンドが行われた前日10日が59歳の誕生日だった。その日のベストスコア66で2位に浮上した成田は、「この6アンダーがプレゼントね」といたずらっぽく笑ったという。そして同夜、「明日は優勝をプレゼントするからね」と母に「母の日」のプレゼントを贈る約束も交わしていた。ジュニアの頃から5月は大会が多く、何度も同じ約束を交わしてきたが、「まさかメジャー大会で初めて現実になるなんて」と照れ笑いを浮かべた。

 「母の日」には、子供の頃からカーネーションの花束などを贈ってきた孝行娘だった。夫の俊弘さんとともに成田組について歩いた和子さんは「兄も昨日から応援に来てくれていて。今までで一番? うれしいですよね、この優勝は」と優しくほほ笑んだ。両親と成田、佐藤大輔キャディーの4人は、満面の笑みで記念写真に納まった。

 ◆成田 美寿々(なりた・みすず)1992年10月8日、千葉・市原市生まれ。33歳。12歳からゴルフを始める。スポーツ万能で水泳、ソフトボール、陸上、バスケットボールも経験。

2011年に拓大紅陵高を卒業。12年からツアーに参戦すると、同年の富士通レディースで初優勝するなど頭角を現し、賞金ランク27位で初シードを獲得。賞金ランクの最高は5位(14、18年)。ツアー通算13勝、そのうちメジャー1勝。167センチ、60キロ。

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