現在、東京・歌舞伎座の「團菊祭」(27日千秋楽)で襲名披露中の尾上左近改め3代目尾上辰之助(20)が、開幕してからインタビューに応じた。世代の異なるスポーツ報知の歌舞伎担当記者が、辰之助の知られざるエピソードを紹介。

意外な素顔を通じ、辰之助の魅力に迫ります。

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 初めてインタビューしたのは小6のとき。9年前。こちらがスポーツ新聞の記者だと伝えると、「芸能人を囲む取材のとき、もみくちゃになってケガしたりしませんか?」と問われた。そんな心配をしてくれる人に出会ったことがない。何ていい子なんだろ、と涙が出そうになった。人と異なる、意外なところにも目がいく細やかな神経の持ち主だと思った。このときの記憶が自分にとっての「辰之助」の原点だ。

 当時、まだ11歳。「体育と図工は好きだけど、勉強は苦手」と言いつつ、歌舞伎は稽古場にいると自然にセリフを覚えていると明かした。趣味を聞けば笑顔を見せ「ガンプラ(ガンダムのプラモデル)を始めたばかり。シールを貼るのが難しくって」。

そんなことを、恥ずかしそうにモジモジしながら答えていた。

 今月、歌舞伎座での襲名披露で封印した女形に期待する。本格的な女形スタートからまだ2年。舞踊「四季」(2024年4月、歌舞伎座)で見せたかれんさ、美しさは衝撃的だった。歌舞伎担当の記者は、主要出演者がどんな化粧をして出ていても、名前を識別できなくてはならない。

 それが…。このかわいらしい女形、誰!? 最初、辰之助(当時左近)と分からなかった。坂東玉三郎は早くから、誰より素質を見抜いていた。その後、発声を始め“女形のいろは”を伝えている。20歳になっていなければ間に合う。女形に専念する道もある、と思わせた時期もあった。そんな中で、本人は立役との「兼ねる役者」を選んだ。

不安を探すとしたら、優しすぎる一面だろうか。伸びしろの塊。壁にぶつかっても自分の可能性を信じて突き進んでほしい。

(内野 小百美)

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