漫画家・たらちねジョン氏の代表作「海が走るエンドロール」(秋田書店)の完結を記念して開催された「海が走るエンドロールフィルムアワード」授賞式が14日、都内で開催された。

 映画監督を目指す65歳の女性主人公にちなみ、映画を作りたい側の人間を応援する自主制作映像コンペティション。

経歴や年齢問わず応募可能で、作品のテーマは「海が走る瞬間」だった。

 グランプリは野田遊歩さんの「都夏(つげ)」が輝いた。野田さんは「生きていて楽しいことないですけど、昨日の夜、修学旅行の前日ぐらいワクワクして。しゃべりたいこと考えましたが、今何も思い出せない」と緊張した様子。「他の方の作品を見た後、自分の作品を見返したら、音声もガビガビだし、アイフォン12で撮りましたが、映像もあれでした。こういう賞を取って、今後も映画を撮ってもいいのかなって思いました。ありがとうございます」と語った。

 審査員を務めた映画監督の今泉力哉氏は「受賞された皆さまおめでとうございます。僕自身、いろんな映画祭に応募し、受賞しなかったことも多くありました。受賞しなかった方の悔しさもあると思う。授賞式後も聞きたいことがあれば(聞きに来てください)」。受賞できなかった応募者にも寄り添う優しい一面を見せた。

 一方、作者・たらちねジョン氏は自身が漫画を描く状況について「追いかけられている感覚。編集者と話す状況を作る、漫画を描かないといけない状況を作ることが私の船を出すこと」と作品を生み出す過程の苦労をにじませた。続けて「みなさんが(同アワードに)出そうと思ってくれた瞬間こそが、海が走る瞬間だったのかなと思います。募集してくださってありがとうございます」と応募者をリスペクトした。

 準グランプリは可香谷慧さんと濱本富士子さんの「初めてカメラを持った日」。審査員賞は沼田理紗さんの「みち」、山﨑一正さんの「drifter」、舘田紅太郎さんの「うみべの」。読者賞には角木理紗さんの「投企せよ、海へ」が選ばれた。

 「海が走るエンドロール」は京都アニメーションによるアニメ映画が2027年に公開予定だ。

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