大相撲 ▽夏場所7日目(14日、両国国技館)

 西前頭4枚目・豪ノ山が4連勝で1敗を守った。自身より41キロ重い関脇・熱海富士を力強く押し出し、初優勝と新三役へ弾みをつけた。

東前頭13枚目・琴栄峰は東同11枚目・宇良に上手投げで初黒星を喫し、平幕の全勝が消えた。大関復帰の霧島は西前頭3枚目・王鵬を寄り切り、6戦全勝で単独トップに立った。霧島を1敗で小結・若隆景、平幕の豪ノ山、琴栄峰、翔猿、藤凌駕が追う。

 豪ノ山の馬力に館内がどよめいた。187センチ、197キロの巨漢・熱海富士を吹き飛ばした。立ち合いからもろ手ではじくと、右のハズ押しと左おっつけで、相手の上体を起こした。そのまま圧力をかけながら前進して押し出し。自身よりも体重が41キロ重い関脇を圧倒する内容に「立ち合いでしっかり中に入って、相手を起こせたので良かった」とうなずいた。1敗を死守し、無敗の大関・霧島を追いかける展開には「13日目ぐらいに言ってください」と無関心を装った。

 昨年10月のロンドン公演では、持ち味の馬力から現地で「Human Bulldozer(人間ブルドーザー)」の愛称で親しまれた。入門後も自慢の突き押し一本で、番付を駆け上がってきた。だが、ここ2年は幕内上位の壁にはね返され、最高位は東前頭2枚目で停滞。

昨年秋場所では1勝14敗の屈辱も味わい「あれよりひどいことはないと思う。もう2度としたくない経験」と振り返る。

 ただ、小手先だけで白星を取りにいきたくなる苦境でも、自身のスタイルだけは崩さなかった。「勝ちが出ればいいかもしれないが、自分はそういう考えにはならなかった。本当にそれ(突き押し)しかできないので」。憧れと語る元大関・貴景勝(湊川親方)のように、どんな時も突き押しで前に出続けた。その信念は徐々に実を結び始めていった。

 先場所は優勝争いで一時トップに立つ活躍で10勝。「ああいう前に出る相撲を取れば勝てると分かった」と手応えを得た。そして今場所は、春場所終盤で敗れた熱海富士に雪辱。「上位戦が組まれたところで勝っていかないと、優勝争いにも、上位にも入っていけない」。中盤に入ってエンジンがかかり始めたブルドーザーの勢いは、止まりそうにない。

(大西 健太)

 ◆豪ノ山 登輝(ごうのやま・とうき)本名・西川登輝。1998年4月7日、大阪・寝屋川市生まれ。28歳。6歳で相撲を始める。埼玉栄高、中大を経て、21年春場所で初土俵。23年名古屋場所で新入幕。敢闘賞1回。178センチ、156キロ。得意は突き、押し。

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