4人組ロックバンド「T―BOLAN」が、昨年9月から47都道府県を巡り、今年8月10日には東京・日本武道館でのファイナル公演をもってバンド活動を終了する。このほどボーカルの森友嵐士(60)がスポーツ報知などの取材に応じ、昨年にステージ4の肺がんが見つかったベースの上野博文(60)への思いを語った。

 T―BOLANは、活動休止中だった15年に上野がくも膜下出血を発症。何とか一命を取り留め、快気祝いの席で上野が「ライブがしたい」と話したことをきっかけに、17年からは精力的に活動してきた。

 上野だけでなくメンバー全員の年齢や体調面など様々な事情を鑑(かんが)み、昨年9月からの47都道府県ツアーを“ラスト”とすることを決意。感謝の思いとともに、バンドの集大成を見せるはずだった。

 しかし、ツアーが始まる2か月前にステージ4の肺がんが発覚し、脳や骨髄にまで転移していることも判明。あまりにも深刻な状態に、ツアーの参加が危ぶまれた。

 それでも、上野は森友らに「ツアーの初日からステージに立ちたい」と訴えた。幸いにも、治療を施しながら何とか演奏ができる状態だったため、森友は「彼の願いを大事にして進んでいこうと思いました」と予定通り帯同させることにした。

 感染症のリスクを避けるため、リハーサルには一部だけ参加。日によって体の調子は変わるというが、上野に「完全じゃなくていい。1曲ずつ弾けるようになっていく姿は、同じような病気を抱えて前に進もうとしている人の光になる」と話しているという。

 それでも、本番に入ると圧巻のベース裁きを披露。

「すごいよ。とてもがんのステージ4の治療をしている人には見えない」と驚きぶりを口にする。

 今ツアーでは毎公演にわたって客席から「上野コール」が沸き起こり、その度に上野がステージのセンターに足を運んで歓声を全身で浴びる光景が恒例になっている。その姿に森友は「上野の人生で一番目立ってます。あんな脚光を浴びたことないんですから」と笑いつつ「俺たちもほほ笑ましいし、うれしいし、良かったなって。みんなからの拍手と声援が何よりも力だと思います」と目を細めた。

 病と闘いながらステージに立ち続ける仲間の姿は、誇らしい。「ベーシストとしての上野。くも膜下出血からリハビリで復活してきた上野。肺がんのステージ4を抱えながらもやりたいことに挑戦している上野。あいつが言うのは、『好きなことやろうよ。それが自分を元気にさせるよ』というメッセージ。

自分ができることで誰かのために何かできることがあるんだったら、何をしてでもやりたいと思ってると思う。その決心はすごいと思いますよ」。森友自身も、その熱意に突き動かされている。

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