大相撲名古屋場所4日目(15日、IGアリーナ)

 西前頭14枚目・獅司が十両の竜電をすくい投げで下し、無傷の5連勝とした。ウクライナ出身の29歳は先場所後の左肩の手術を乗り越え、序盤戦を無敗で駆け抜けた。

東前頭11枚目・若ノ勝は西同9枚目・翔猿を突き出して5連勝。綱取りの大関・霧島が東前頭3枚目・平戸海に押し出されて初黒星を喫し、勝ちっ放しは早くも若ノ勝、獅司の平幕2人のみとなった。

 獅司が約18秒の熱戦を制して無敗を守った。竜電に左の上手を切られ、押し込まれて後退したが、土俵際で体を入れ替えて逆転のすくい投げ。「危なかった」と率直に語ったが、初日から5連勝は幕内で自身初。動きの良さも光り、若ノ勝と並んで賜杯争いのトップを走るが「あまり考えてない。自分の相撲を取れればいい」と足元を見据えた。

 約1年前から左肩に痛みを抱え、先場所は休場を考えるほど悪化した。だが、6月のパリ公演に胸を張って参加したいと、痛み止めを毎日打って土俵に立ち続け、6勝9敗で皆勤した。母国のウクライナからフランスは平時は飛行機で2~3時間の距離。同じ欧州で行われる海外公演で「ヨーロッパ出身の関取は(安青錦と)2人しかいない。顔も(現地の人と)一緒だから。

喜んでもらえるかな」と思い入れは強かった。

 初めて訪れたパリではエッフェル塔、ノートルダム大聖堂、ルーブル美術館などを観光した。街を歩いているとたびたび話しかけられた。英語は聞き取れなかったが、快く記念撮影に応じた。公演は「お客さんがいっぱい。獅司のファンもいっぱいいた」。最終日にフランス在住のウクライナ人たちと食事をする機会もあり、応援されていることを実感した数日間だった。

 左肩は先場所千秋楽の翌日に手術。骨が変形して突き出ていた箇所を削ったという。手術は人生で初めてだったが「ちょっと痛かったけど、怖くはなかった」。退院後は1週間ほど部屋で安静にし、相撲を取る稽古を再開できたのは初日の4日前。調整は十分ではなかったが、“けがの功名”と言える快進撃を見せている。

「1か月半で治ると言われて、ぎりぎり間に合った。そんなに痛みもない。先場所より全然いい」。左肩の不安も消えたウクライナ出身初の幕内力士が、真夏の土俵を先頭で引っ張っていく。(林 直史)

 獅司 大(しし・まさる)本名はソコロフスキー・セルギイ。1997年1月16日、ウクライナ・ザポリジャ州メリトポリ出身。29歳。6歳からレスリングを始め、15歳で相撲に転向。世界ジュニア選手権では3大会連続の重量級3位。当時の入間川部屋に入門し、20年春場所初土俵。24年九州場所新入幕。現在は雷部屋所属。

得意技は押し。192センチ、177キロ。

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